著者:Neil Gaiman
ハードカバー: 192 ページ
出版社:William Morrow
発売日:June 18, 2013
難易度:上級レベル(ネイティブ英語スピーカーの普通レベル)
適正年齢:PG15(高校生以上)
ジャンル:ファンタジー(超常現象)/ホラー/成長物語
(今回から、『洋書ベスト500』の体裁にあわせた表示に変えます)
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葬式で故郷に戻った中年の主人公は、解体されてしまった子ども時代の家の近くで、ある農家に引寄せられる。
道の行き止まりにある池の隣りにあるその家には不思議な家族が住んでいて、彼が子どもの頃に遊びに行ったものだった。懐かしさにその家を尋ねた彼は、40年前、自分が7歳の少年だったときに起こったことを突然思い出す。
誰でも、親や兄弟から「こんなことがあったよね」と言われて、「そんなことがあったのか!」と驚いた経験があるだろう。そして、「そんなに大事なことを、なぜ忘れていたのだろう?」と訝しく思う。著者のゲイマンにもそんな体験があり、そこから生まれたのが本書である。
本書発売前(6月1日)のBEAでニール・ゲイマンの講演を聴き、早く読みたくてたまらなかった。けれども『洋書ベスト500』の追い込みで寝る暇もなかったので、仕事を終えるまで「おあずけ」状態だった。
ようやくそれが終わり、いっきに読了。
いつものゲイマンの作品のように、美しくて恐ろしい超常的な世界が普通の世界をジワジワと侵略してくるのだが、そこに子ども時代へのノスタルジックな想いが加わり、いつもより甘酸っぱさを感じる。
私にも、このように忘れ去っている体験があるのではないかと思わされる。もう少しで、戻って来れなかったような恐ろしく、切ない体験が。
ゲイマンの大人向けの作品の中では、ページ数も少なく、読みやすい。また、 American GodsやThe Sandmanのような難解さはないので、ゲイマン初心者にもおすすめ。
性的なシチュエーションはあるが、7歳の子どもの視点なので、分からない子には分からないだろう。しかし、親が信用できないというのは子どもにとっては怖い話。
主人公が7歳であっても、児童書ではない。著者も講演で「子どもが主人公の大人向けファンタジー」と明言していたので、適正年齢をR15(高校生以上)とした。