タフな爺さんが主人公のハードボイルド・ミステリ『Don’t Ever Get Old』

著者:Daniel Friedman

ハードカバー: 294ページ

出版社: Minotaur Books

ISBN-10: 0312606931

発売日: 2012/5/22

適正年齢:PG15(高校生以上)、性的な話題はあるがシーンはない。過剰ではないが、バイオレンスあり。

難易度:上級レベル(文法はシンプルで入り込みやすいが、ユーモアのセンスを理解するためには、歴史や文化の知識と英語の本を読み慣れている必要がある)

ジャンル:ミステリ(犯罪小説)、ユーモア風刺小説

キーワード:ハードボイルド、ナチスドイツ、ユダヤ人文化、高齢者問題、インターネット

2013年エドガー賞(MWA賞)処女長編部門候補作


 

Buck Schatz(バック・シャッツ)は、かつてメンフィス市殺人課の有名な暴れん坊警官だったが、87歳になって体力も記憶力も衰えた今では、家で(保守的なテレビチャンネルとして知られる)Foxニュースを観るだけの退屈な生活を送っている。

第二次世界大戦を一緒に戦った友人のJim Wallaceから死の床に呼び出されても、人嫌いのBuckはテレビ番組を見逃したくないから無視するつもりでいた。けれども、長年連れ添った妻に促されてしぶしぶ会いにゆく。死を目前にして罪の赦免を求めるJimが告白したのは、収容所でBuckを殺しかけたナチス親衛隊将校のZieglerから戦後に金塊の賄賂を受け取って逃したというとんでもない事実だった。


死んだと思っていたZieglerが生きていたというだけでも衝撃的だったが、彼と金塊の残りがいまだにアメリカに存在している可能性があるというのだ。おまけに、悔恨にかられたJimがあちこちで告白していたために、Jimの義理の息子や彼が属していた教会の牧師が「ナチスの隠れた金塊を分けろ」とBuckにつきまとうようになる。引退して30年になる足元もおぼつかない老人なのに、未だに調査能力があると思い込んでいるらしい。

興味がないとはねつけていたBuckだが、ニューヨーク大学のロースクールで学ぶ孫のTequila(ニックネーム)は情熱的にBuckを宝探しに引き込んでゆく。そこに、イスラエル諜報特務庁のエージェントらしき大男や謎のイスラエル人の美女などがあらわれ、殺人が次々と起こる。

 

このミステリの魅力は、なんといっても87歳の不機嫌な爺さんBuckである。禁煙の場所でも平気でタバコを吸い、場を考慮せず遠慮なく罵り言葉を吐き、銃を手元から離さない。映画『グラン・トリノ』のクリント・イーストウッドを連想するタフでクールなグランパなのだが、物忘れが激しいという自覚はあり、記憶ノートをつけたり、他人を疑うたびに「パラノイアは痴呆の症状ではないか」と自分を疑うところもある。ユダヤ人文化や老人に関する自虐的でダークなジョークもおかしくて、笑える場面が満載である。

夫と一緒にカナダからボストンへの長距離をドライブしたときにオーディオブックで聴いたのだが、距離が半分以下に感じるほど楽しめた。

男性にも女性にもおすすめできるミステリ。たぶんシリーズ化されると思うので、続きも楽しみ。

 

 

 

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