同業作家たちが絶賛するほろ苦い青春小説『Eleanor & Park』

著者:Rainbow Rowell

ハードカバー: 328ページ

出版社: Griffin (2013/2/26)

ISBN-10: 1250012570

発売日: 2013/2/26

適正年齢:PG12(中学生以上)

難易度:中級レベル(シンプルな英語なのでストーリーは理解できるだろう。文章の巧みさを理解するためには上級以上の英語力が必要)

ジャンル:青春小説

キーワード:1980年代、初恋、コミック、ニューエイジ音楽、親子関係、心温まる、泣ける

2013年これを読まずして年は越せないで賞候補作(渡辺推薦)/『洋書ベスト500』掲載

 

1980年代のアメリカネブラスカ州オマハが舞台。

16歳の少年Parkは父が白人で母が韓国人のハーフだが、白人ばかりの地域に住んでいるために、高校では無知な同級生たちからアジア人代表のように扱われている。おまけに、スポーツが大好きな父や兄とは異なり、Parkはコミックやニューエイジ音楽が好きな非モテ系のナードである。

登校用のスクールバスは、高校のシビアな階級社会を反映している。そこで自分の横の平和な空席を確保していたParkは、ある日乗り込んできた転校生を見て唖然とする。

Eleanorは、まとまりがつかない赤毛やソバカスだらけの丸顔だけでも目立ちすぎなのに、体格がよくて、服装の趣味が悪く、徹底的に浮いているのである。むろん、誰も彼女に席を与えようとはしない。Parkも嫌だったが、仕方なく彼女に横の席を与えることになった。


毎日互いを無視して過ごした二人だが、そのうちParkはEleanorにX-MenやWatchmenのコミックブックを読ませるようになる。そして、自分の好きなThe CureやThe Smithsといったバンドの曲をバスの中で一緒に聞くようになる。

80年代の映画や音楽を背景に展開するEleanorとParkの恋は、不器用で、初々しく、そして切ない。ふたりが恋愛小説にありがちの主人公ではないところにこの物語の価値がある。

2013年5月末のBEA(ブックエキスポ・アメリカ)のパネルディスカッションに参加したYA作家のほぼ全員が「おすすめのYA本」として挙げたのが、このEleanor & Parkである。同業者から圧倒的に支持されるのが納得できる、青春小説らしい作品である。

EleanorとParkの心情が交互に語られるスタイルで、文章は短く、平易。

 

 

 

 

 

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

同業作家たちが絶賛するほろ苦い青春小説『Eleanor & Park』」への3件のフィードバック

  1. おすすめいただいたこの本を本日読み終わりました!
    すごく良かったです。なんて言うか、きっと初めて英語の本で猛烈に感情移入できた本だと思います。
    今まで、何冊か読んだのですが、内容もあるのかもだけど、ページをめくるたびにドキドキしました。
    英語の物語という事を忘れるほど、私の頭の中では架空のPark とEleanorがnerdy  な会話を繰り広げました。
    自分では何を選べばいいのか分からない英語の小説選びの、よきアドバイザーのようなこのサイトに感謝です!!!

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  2. 平尾さま
    お楽しみいただけて、私もとっても嬉しいです!
    この二人には、私もどっぷり感情移入しました。現在売れているYAにはない「真実味」がある小説だと思います。この作家とはちょっとタイプが違うのですが、ほかにも流行しているYAとは異なる「真実味」を感じたのが、Please ignore Vera DietzというYA小説です。 http://watanabeyukari.weblogs.jp/yousho/2011/02/vera-dietz.html 

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  3. 渡辺さま
    うまく表現できなかったのですが、そうです。おっしゃる通り私が感じたのも「真実味」だったんです。
    Please ignore Vera Dietzも是非読んでみようと思います。ありがとうございます!

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