ダークな学園ものゴシックミステリ『Liv, Forever』

著者:Amy Talkington

ハードカバー: 288ページ

出版社: Soho Teen

ISBN-10: 1616953225

発売日: 2014/3/11

適正年齢:PG12(中学生以上)

難易度:中級レベル

ジャンル:YA/ミステリ/ゴーストストーリー

キーワード:学園もの、ラブストーリー、オカルト、陰謀、ゴシックミステリ、泣ける本

Wickham Hallはアメリカ東海岸にある由緒ある寄宿生私立学校で、卒業生は有名大学に進学し、政治や経済界の要職に就いている。アメリカのトップ1%に属するような裕福な家庭の子どもしか入学できない名門校だが、他の名門校のように奨学生も少数受け入れている。


孤児のLiv(Oliviaのニックネーム)は、いくつものフォスターファミリーを転々とし、愛情を知らずに生きてきた。アートだけが生きがいだったLivは、奨学金を得てWickham Hallでアートを学べる自分の幸運が信じられないくらいだった。だが、そのウキウキした気分は転入してすぐに消える。つらい生活に慣れているつもりのLivだったが、Wickham Hallの経営陣や有力者の子弟たちの奨学生に対する扱いは残酷なものだった。その中で、人気者のMalcom AstorがLivに近づいてくる。共通の趣味を持ち、優しいMalcomにLivは惹かれるが、Livと同様に奨学生のGabeは彼には近づかないほうがいいと警告する。

Wickham Hallに徘徊する幽霊たちが見えるGabeは、同級生たちから変人として馬鹿にされ、学校からも問題児扱いされていた。LivもGabeの精神状態を疑い、彼の警告を無視する。けれども、Livもまた幽霊を目撃し、この学園に潜む暗い秘密を感じる。

これ以上はネタバレになるので書かないが、殺人ミステリとオカルトが混じった、ダークな学園ものラブストーリーである。日本では「ライトノベル」に値するかもしれない(私はライトノベルを読んだことがないので想像だけだが)。 深い作品ではないが、吸血鬼とディストピアものが溢れているYAのジャンルでは新鮮さを感じる。

著者のTalkington は、小説ではデビュー作家だが、脚本家としてすでに活躍しており、本書も映画のようにシーンが鮮やかに目に浮かぶ。展開がスピーディで読みやすく、中級レベルの方にもおすすめ。 「ロマンス」ではなく「ラブストーリー」のカテゴリ(理由は白字にしたので、カーソルで指定して読んでください。ロマンス小説は通常ハッピーエンドが約束されている

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