バレンタインデー特集:Historical Romance の代表的な作家

アメリカはまだ2月14日なので、バレンタインデー特集として代表的なHistorical Romanceの作家をご紹介しようと思います。

ロマンス小説のジャンルには、次のようなサブジャンルがあります。

Contemporary Romance:現代のリアルな社会を舞台にしたもの、
Historical Romance:過去を舞台にしたもの。ロマンスが中心の歴史小説。
Paranormal Romance:主人公がヴァンパイアやシェイプシフターなど、超常現象の設定。
Romantic Suspense: ロマンスが中心のミステリ。
Young Adult Romance: 主人公がティーン。ティーン読者対象。
Inspirational Romance:宗教的な「教え」が含まれているロマンス。主人公たちが宗教的な信念で繋がることが重要視され、多くの場合、男性主人公が女性主人公の宗教的な愛で過去の罪を悔い改めて心をいれかえる(ugh…私が一番苦手なタイプ)
Erotic Romance (Erotica):Fifty Shades of Greyで流行り始めたサブジャンル。精神的なロマンスより「主人公の性的ジャーニー」を重視したもの。


上から二番目の Historical Romanceの良さは、自分の日常生活から離れた場所に連れて行ってくれることです。Historical Romanceの舞台になる場所には電話もインターネットもなくて、時の流れ方も違います。そこで、自分とはまったく異なる人物になりきって、胸がドキドキするロマンスの冒険をできるから人気があるのです。

このサブジャンルで特に人気があるのは、Regency Romanceと呼ばれるものです。リージェンシーはヴィクトリア朝の前の時代で1810〜20年です。この時代に人気があるのは、ジェーン・オースティンの時代だからです。そして、公爵や伯爵など貴族が登場するのも魅力です。想像の世界だけでも貴族社会を味わえるのですから。ただし、現在よくRegency Romanceと呼ばれている作品の中には厳密にこの時代を描いていないものもありますから、18世紀から19世紀に移行するあたりを舞台にしたものだと解釈すればいいでしょう。

次はHistorical Romanceの代表的な作家と、その代表的な作品です。それぞれの作家に特徴がありますので、自分に合いそうな作家の作品を試してみてください。

1.Diana Gabaldon

 作家になる前にはコンピュータや科学分野での専門家で、大学で教鞭も取っていた。それだけにGabaldonの創り出したOutlanderのシリーズは、「ロマンス小説」と呼んでしまうのがもったいないほど面白い歴史的ディテールに満ちている。『ジャンル別 洋書ベスト500 』にも収録。

2.Georgette Heyer

 1902年生まれのイギリス人作家。リージェンシー時代から約100年後にリージェンシー・ロマンスを数多く生み出し、後の作家に影響を与えた。推理小説も書いている。100年も前に書かれた作品とは思えないほど読みやすい。『ジャンル別 洋書ベスト500 』にも収録。

3.Mary Balogh

現在の歴史ロマンス作家の中では、最もJane AustenやGeorgette Heyerに近い文章の作家。セックスシーンがあまり好きでなく、伝統的なロマンスのスタイルが好きな人にお薦め。ただし、ほかの現代作家よりは読みにくいかもしれない。『ジャンル別 洋書ベスト500 』にも収録。

4.Julia Quinn

現代の「リージェンシー・ロマンスの女王」と呼ばれている。主人公の女性はユーモアのセンスがあって根が明るく、お相手の男性はrake(放蕩者)であっても根本的に「良い人」。いずれも必ずハッピーエンドになるし、軽く読める。セックスシーンはあるが少なめ。『ジャンル別 洋書ベスト500 』にも収録。

5.Sarah MacLean

リージェンシー・ロマンス専門。けれども内容は現代的で、ホットなシーンも多め。伝統的なロマンス小説の展開だが、テンポが早くスパイシーなので娯楽性が高い。歴史小説としての質よりも娯楽性を求める読者にお薦め。

6.Eloisa James

ジョージ王朝とリージェンシー時代が専門。Julia Quinnと似たスタイルだが、それよりも暗めで胸を締め付ける関係が多いロマンス。

7.Laura Kinsale

設定がユニークで、登場人物の人間性も複雑。「歴史小説」と呼ぶことはできないし、「文芸小説」でもないのだが、それらの要素があり、主人公たちの葛藤にリアリティがある。通常のロマンス小説より文章は難しく、しかもページ数が多い。通常の歴史ロマンスに飽きている人にお薦めの作家。

8.Lisa Kleypas

歴史的な正確性を無視していて(このジャンルにそれをあまり期待しないにしても。。。)、登場人物たちの行動が非常に現代的。けれども、情熱的な展開とホットなシーンのファンが多い。Historical Romanceだけでなく、ほかのサブジャンルのロマンスも書いている作家。

9.Anne Gracie

(読んだことがないので詳細はわからないが)主人公たちの間の情熱がゆっくりと加熱してくる感情的な起伏が激しい作品を求めるならこの作家らしい。

10.Judith McNaught

登場人物の愛の葛藤で胸が痛くなるのがロマンチックで読者に強い人気があるのだが、男性キャラがドメスティックバイオレンスの加害者的に感じて私は個人的には好きではない。

11.Loretta Chase

非常に人気がある作家。悪名高いrake(放蕩者)の貴族の男性と、鼻っ柱が強い女性主人公が性的テンションのバトルを闘わせる…というロマンスが好きな読者向け。1冊試したけれど、登場人物たちにまったく好感が抱けなかったし、歴史的な考慮がまったくなかったので個人的には好きではない。でも、娯楽としては割り切れば楽しめる作家だと思う。

****ファンの皆さんからの「あの方も。。。」というリクエストで追記***

12.Carla Kelly

登場人物の人間性に深みがあり、心にしっとりとくる作品を描く作家。人間の良いところを信じさせてくれる作品が多い。『ジャンル別 洋書ベスト500 』にも収録。

 

13.Sherry Thomas

YAロマンスも書いている作家。胸ドキ、切なさをうまく取り入れ、読み始めたら最後まで止まらない展開をするのが上手。登場人物のキャラクターの作り方も上手く、感情移入しやすいので根強いファンベースがある。ホットシーン多し。

 

14.Paullina Simons

 ロシアを舞台に、戦争で引き離される恋人たちを描いたドラマチックな三部作 The Bronze Horsemanの著者。この三部作は「ベスト歴史ロマンス」で必ず上位に出てくるほど人気。

 

15.Elizabeth Hoyt

上で紹介したLoretta Chaseと似たところがあるが登場人物にはもっと好感が抱ける。rakeだけれども実は良いところを隠しているヒーローと芯が強いヒロインの取り合わせがいい。通常のリージェンシーロマンスでは、女性主人公は社交界にデビューする若い年頃が多いけれど、Hoytの女性主人公はもっと「大人」であることが多い。ホットシーンは多い(2007年に読者投票で「最も官能的なロマンス小説」に選ばれたのが下記の作品)。

 

アマゾンにない本は、洋書を取り扱っている書店で買いましょう!きっとほかにも見つかりますよ。

 

ほかにも人気作家は沢山いるのですが、今日はここまでにしておきます。ここに入っていないお好きな作家があれば、ほかの読者のためにもコメント欄に残してくださいね!

 

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

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