語り手の姿が移り変わる心理スリラー The Girl on the Train

著者:Paula Hawkins
ハードカバー: 336ページ
出版社: Riverhead Books
ISBN-10: 1594633665
発売日: 2015/1/13
適正年齢:PG15
難易度:上級レベル(入り込みやすく、理解しやすい文章なので、洋書を読み慣れている人には簡単)
ジャンル:心理スリラー
キーワード:unreliable narrator(信頼出来ない語り手)、アルコール依存症、ドメスティックバイオレンス(DV)、殺人

Rachelは、毎日同じ時間にロンドン行きの通勤列車に乗る。そのルートで、一旦停車をする場所に閑静な住宅地がある。その中の一軒に住んでいる若い夫婦の睦まじい姿を眺めるのがRachelの唯一の楽しみだ。Rachelは夫婦にJessとJasonという名前を勝手につけ、その二人の素敵な生活を夢想する。


RachelもかつてはJessやJasonのように素晴らしい結婚生活を送っていたのだ。でも、今のRachelはただのアル中だ。

ある日、Rachelはショッキングなシーンを目撃する。黙っていられなくて警察に行って報告するが、Rachelの「事情」と「嘘」を知った警察は彼女のことを信用しない。関わらないように忠告されるが、それでもRachelは関わらずにはいられない。

 

この心理スリラーの優れたところは、「unreliable narrator(信頼出来ない語り手)」であるRachelが読者をすっかり騙すところだ。最初と最後では、それぞれの登場人物の見方がすっかり変わってしまうのが面白い。

私と夫が偶然別々に購入して同時に読んでいた作品で、どちらも「面白かった」と思った。だから、男性にも女性にも自信を持ってお薦めできる。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 多くの職を体験し、東京で外資系医療用装具会社勤務後、香港を経て1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 100 reviewer.

語り手の姿が移り変わる心理スリラー The Girl on the Train」への3件のフィードバック

  1. 渡辺さんの書評を読んで「この本、絶対読みたい!」と思っていたのですが、さすがに大人気で、図書館でやっと出会えたのが4日前でした。本当におもしろくて、読み出したらなかなかやめられませんでした。ラストでは「警察ってこんなにあっさり納得するものなの?」と思ったりもしましたが、とにかくAnnaが怖かったです(笑)。10月には映画が公開されるそうで、予告編を見ました。Rachelは本からイメージしたよりも美しすぎるような気がしましたが、映画も見てみたいと思いました。

    いいね: 1人

    • 映画が原作に忠実に作られてはいないけれどおもしろい、というパターンが私は好きです。Jodi Picoult の『My Sister’s Keeper』は先に映画を観てボロボロ泣いたのですが、小説を読んだ時は感傷的になるよりも考え込んでしまったし、映画とは全然違う結末に愕然としました。David Mitchell の『Cloud Atlas』を読んだ時には映画化は無理なのではないかと思ったのですが、映画は構成を大幅に変えて、原作とは違うつながりを作って楽しませてくれました。『The Girl on the Train』も、こういう一粒で二度おいしい思いをさせてくれるといいのですが。

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