「世界を創り直すチャンス」を描くプリンツ賞受賞作 I’ll Give You the Sun

著者:Jandy Nelson
ハードカバー: 384ページ
出版社: Dial Books
ISBN-10: 0803734964
発売日: 2014/9/16
適正年齢:PG12(中学生以上。性のテーマあり)
難易度:中〜上級レベル(一人称の語り。日常で使われている表現を知っていれば非常に読みやすい)
ジャンル:YA(リアリスティック・フィクション)/青春小説
キーワード:ラブストーリー、同性愛、双子、親の死、裏切り、許し
賞:2015年 マイケル L.プリンツ賞受賞作

 

JudeとNoahは、女と男の二卵性双生児なのに考えていることがすべて分かるほど仲が良かった。けれども、思春期を迎えてだんだん心が離れていく。Judeは大人びた格好をして年上の人気者サーファーたちと行動を共にするようになり、アートにしか興味がなくて「変わり者」とみなされているNoahは新しく隣家に来た少年に恋心を抱く。

14歳になったJudeとNoahが自分ひとりでは対処できない思いを抱えているときに、最愛の母が事故死する。それぞれ相手には言えない大きな罪をおかした二人は、それらを胸の奥底に沈めたままこれまでとはまったく異なる人間になる。


怖いもの知らずで人気者だったJudeは幽霊だけが友だちの孤独な「変わり者」になり、Noahは学校の人気者に囲まれるスポーツマンになる。16歳になったときには、ふたりの間には埋めることができない大きな溝ができていた。

けれども、Judeが教会で不思議に魅力的な少年に会ったとき、2年前にいったん止まっていた運命の歯車が動き始める。

二人が気づかないところで、「世界を創り直す」チャンスが到来していたのだ。

 

現在人気のYA(ヤングアダルト)ジャンルのなかの、「リアリスティック・フィクション」のサブジャンルに属する小説である。そして、今年2015年のマイケル L.プリンツ賞受賞作でもある。

登場人物はすべて過去に悲劇を体験している「壊れた人」たちだ。それぞれに、周囲の人を傷つける過ちもおかしていて、罪悪感の重みに潰されている。

でも、この本の良いところは、運命の糸で引き寄せられた登場人物たちが、前向きに過去の過ちを正していくところだ。主要人物のひとりが「神さまだって間違いを犯す。一回めに作った世界が完璧ではなかったからもう一度作ったじゃないか」ということを別の登場人物に説明する場面がある。ノアの方舟のことだ。そして、"It's time to remake the world"と語りかける。それが、この本のテーマなのだ。

少し出来過ぎに感じたが、それは私が大人だからだろう。これがティーン対象のYA小説であることを忘れてはならない。

人生や愛を前向きに語るYA本は、悲観的なものよりもティーンにとって大切だと思う。読んだ後に、愛を信じ、周囲の人を大切にし、自分も大切にしようと思えるからだ。

I'll Give You the Sunは、人生に悲観的になりがちなティーンにぜひおすすめしたい本だ。

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