ソシオパスに狙われた精神科医の孤独な闘いを描く新刊心理スリラー Every Fifteen Minutes

著者:Lisa Scottoline
ハードカバー: 435ページ
出版社: St Martins Press
ISBN-10: 125001011X
発売日: 2015/4/14
適正年齢:PG15(性的な話題はあるが問題になるシーンはない)
難易度:中級+(文章はシンプルでわかりやすいが、ページ数が多い)
ジャンル:心理スリラー
キーワード:ソシオパス、サイコパス、OCD(強迫性障害)、離婚、子供の養育権争い、セクシャルハラスメント、精神科、守秘義務

フィラデルフィア近郊の有名病院で精神科チーフを務めるDr. Eric Parrishは、妻との離婚協議でストレスを感じていた。娘のHannahを溺愛するEricは娘の心を守るためになんでも譲歩するつもりだったが、弁護士免許を持つ検事の妻のほうはEricの善意を利用してHannahを父親から遠ざけようとする。

そんな妻とついに親権を巡って闘う決意をしたとき、個人的に診察していた男子高校生のMaxがクライシスを迎える。OCDで不安定な心理状態だったMaxは、心理的に頼りにしていた祖母が亡くなったショックでパニックを起こしてEricに電話をかけた後姿を消した。自殺を心配するEricは心当たりの場所を探しまわるが、Maxは見つからない。そして、Maxが「自分が殺すのではないか」と心配していた女子高校生が翌朝死体でみつかる。警察は、Maxを探すために女子高生に接触し、彼女の家の前で待ち伏せをしていたEricを容疑者の疑いで尋問する。

そんななか、Ericにつきまとっていた女子医学生が拒否した彼をセクシャルハラスメントで病院上部に訴える。病院は彼を一時的に停職にし、Ericはチーフなのに自分が指揮する部所に足を踏み入れることができなくなる。混乱の最中に、姿を消していたMaxがショッピングモールで人質をとっているというニュースが耳に入る。15分ごとに人質を殺すというMaxの宣言を聞き、EricはMaxを説得するためにモールにかけつける。

しかし、これらのすべての出来事は、Ericの人生を破滅させようとするソシオパス(サイコパスと同義に使われている)の大きなゲームなのだった……。

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ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー作家Scottolineの新作は、心理スリラーで、しかもソシオパスやOCDの話題が含まれているという。私の好みっぽい作品なのでさっそく読んでみた。

誰がソシオパスなのかを推察しつつ、次々と振りかかる困難で窮地に追い込まれていく精神科医Ericの闘いを追うこの新作はページ・ターナーだ。離婚協議、親権問題、ショッピングモールでの人質事件、職場でのセクシャルハラスメント問題、製薬会社と医師との密着、アメリカの大病院の非人間的な運営体勢、など面白い話題がたっぷりだ。

これだけのテーマを盛り込んで、「ソシオパスは誰なのか?」という謎を最後まで引っ張って、どんでん返しを作るのは容易なことではない。あちこちに読者を騙す目眩ましを入れなくてはいけないので無理が生じてしまう。それに気づかなければ楽しめるのに、気づいちゃうから「それじゃ、辻褄があわない」とツッコミ入れたくなってモヤモヤしてしまった。

特に、善人ヒーローに設定されている主人公の言動に一貫性がない。ときには道徳観がありすぎで、ときには(さほど道徳観や徳がない)私でも絶対にしないような外れた行動をする。女性作家なのに、登場人物の女性陣がそろって怖いのだけれど、ヒーローが自分で自分を窮地に追い込むアホな選択のほうが怖い。隠れた存在のソシオパスよりもそっちのほうにハラハラして胃が痛くなった。

そのうちに「あかんて、それは!」「どっちが大切やねん?」となぜかツッコミが関西弁になっていた。そうでもしなければ400ページ以上神経が持たない。

結論から言うと、多少の問題はあるにしても、読み応えがあり、娯楽性たっぷりのページ・ターナーだ。

2 Comments

  1. 新しいブログすっきりしていて素敵ですね。この方の作品2作読んだのですが、どちらも主人公にイライラさせられっぱなしでしたので、渡辺さんの「ヒーローが自分で自分を窮地に追い込むアホな選択のほうが怖い。」と言う部分を読んで笑ってしまいました。全く同感です。ストーリーはどれも面白かったんですけどね。

  2. UrusaiTwinsさん、

    いつも応援ありがとうございます。
    ストーリーが良くても主人公が「あれ」だと残念ですよね。でも、本に向かってぶつくさ言いながら読むのもたまには楽しいです(いつもだと嫌ですけれどね)。
    こういう感想を交わし合うのも楽しいですしw.
    またコメントお待ちしております。

    渡辺

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