自分の不完全さを認め、勇敢に挑戦し、そして失敗したら立ち上がる。TEDトークで有名なブレネー・ブラウンの新刊 Rising Strong

著者:Brené Brown
ハードカバー: 336ページ
出版社: Spiegel & Grau
ISBN-10: 0812995821
発売日: 2015/8/25
適正年齢:PG15(高校生以上でないと書いてあることがわかりにくいだろう)
難易度:中級(日本で英語教育を受けた人には、小説より読みやすいだろう)
ジャンル:自己啓発/社会科学
キーワード:vulnerability、courage、authenticity、shame、The Gifts of Imperfection、Daring Greatly、『傷つく心の力』TEDトーク『恥について考えましょう』TEDトーク、ブレネー・ブラウン

著者Brené Brownは、vulnerability(心の脆さ、傷つきやすさ), courage(勇敢になること), shame(恥)を中心に研究し、人々を援助するコースを実施しているアメリカの社会科学者である。TEDトークで一躍有名になり、これまで刊行した『The Gifts of Imperfection(邦訳版:「ネガティブな感情」の魔法)』、『Daring Greatly(邦訳版:本当の勇気は「弱さ」を認めること)』の二冊は、国際的なベストセラーになっている。

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Book Expo Americaでも大きく取り上げられていた注目の新刊

8月末に発売されるBrownの新刊『Rising Strong』は、今年5月のBook Expo Americaで最も大きく取り上げられていた新刊のひとつであり、先の2冊の続編ともいえる内容だ。

これらの三冊の流れを著者はこのようにまとめている。

The Gifts of Imperfection – Be you.(不完全で、ネガティブな感情を抱いてもいい。ありのままの自分を受け入れてやる)

Daring Greatly – Be all in.(自分の脆弱さを認めたうえで、傷つくことを避けようとせず、ちゃんと人生に立ち向かう)

Rising Strong – Fall. Get up. Try again.(失敗し、立ち上がる)

自分の弱さを認め、勇気を持って人生に挑んでも、失敗することはある。今回の本は、失敗した後に立ち上がり、ふたたびチャレンジしていく過程に的を絞っている。

傷つくことを避けずに人生と取り組んでいると、必ず失敗や挫折がある。何度体験しても、挫折は苦しいものである。いったん傷ついてしまうと、それが怖くなって立ち上がって挑戦するのが嫌になる。

でも、ここで傷ついた心のままでいると、うつ状態になって立ち上がることができなくなってしまう。

じゃあ、どうすればいいのか?

著者自身や取材した人たちの具体的な体験を紹介しながらその過程を説明するのが本書Rising Strongだ。

このプロセスで最も重要なのが『The Rumble』である。(rumbleには、轟音を立てる、とかストリート・ギャングの喧嘩、といった意味もあるが、ここではそういった用途も含めて、自分の中で葛藤しながら真相を見極めること)

失敗したとき、私たちの心の中ではあらゆるネガティブな感情が渦巻いている。

「私はダメなやつだ」「価値がない」とか、それぞれの人がいちばん「落ち着く」感情にまっしぐらに向かう。著者ブラウンもそういうときに”I’m not enough”と感じるようだが、私を含めて女性にはそういう傾向があるのではないか。

そうやって自己嫌悪に陥ると、気分の悪さから抜け出すために誰かのせいにしたくなる。そして、無意識のうちに「自分は悪くない。誰かのせいだ」と納得できるような言い訳フィクションを頭の中で作る。これがよくあるパターンだ。

だが、それでは失敗からちゃんと立ち上がることができない。

そこで、(嫌でも)徹底的にやるべきなのが、『The Rumble』のプロセスだ。

このプロセスでは、実際に何が起こったのかを、好奇心を持ち、正直に書き留める。

完璧になるように編集してはいけない。あったことを、そのままに見つめ、実際に書くのだ。その最初のドラフトは、次の6つについての簡単なメモである。

The Story I’m making up: (無意識のうちに頭の中で創作している『事実』)

My emotions:(そのときの自分の感情)

My body:(身体的な反応)

My thinking:(考えていたこと)

My beliefs:(自分が信じていること)

My actions:(自分の行動)

ここで正直に書くのはだれだって難しい。自分の弱さや欠陥を認めたくはないものだから。でも、このプロセスは本当に大切だ。

この本を読んでいるうちに、『どうせなら、楽しく生きよう』で書こうとしたこととの共通点を感じた。

私はこのように具体的に書き留めることはしなかったが、「自分(の心)を鏡に映してじっくり見る」という気が進まない作業をやり、自分をなるべく客観的にとらえ、挫折から時間をかけて立ち上がっていく過程について書いた。

著者Brownも、失敗したら即座に「勇気を持って立ち上がる」といった啓蒙本を信じてはいない。

残念ながら、失敗は辛いものだし、立ち上がるのには時間がかかる。でも、みんな失敗するのだし、プロセスをちゃんとやれば力強く立ち上がることができる。

著者の作品をまだ読んでいない方には、最初の本がおすすめ。

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