GoodreadsのChoice Awardsが信頼できない理由

今年も、GoodreadsのChoice Awardsが発表された。

Screen Shot 2015-12-17 at 5.01.48 AM私は自分自身へのメモとしてGoodreadsを利用しており、結構重宝している。(読み捨ての本はメモするのを忘れてしまうので、後でまた出会って「あれ、これ読んだことがあるような気が。。。」ということもあるけれど)。

Choice Awardsは読者が投票する賞なので、一見信頼できそうな気がする。

「多くの読者が面白いと思った本なのだから、きっと面白いのだろう」と。

だが、継続的に観察していて感じるのは選択の劣化だ。

私個人の好みは別にして、本としての質が悪い作品が各カテゴリでBestに選ばれることが増えている。

私はModern Romanceを面白く読んだし、ニューズウィークのコラムでも紹介した。だが、ノンフィクションでベストに選ばれるような作品ではない。私のチョイスは、Missoulaだ。読者の視点を根こそぎ変えるような作品でなければ、ノンフィクションのカテゴリでベストに選ばれる資格はないと思っている。

文芸小説のベストがハーパー・リーのGo Set a Watchman、歴史小説のベストがThe Nightingaleという選択に至っては、目眩がして倒れそうだ。Go Set a Watchmanは(あの時代の南部の雰囲気がわかって面白い部分はあるが)ひとつの小説として破綻しているし、The Nightingaleは歴史ロマンス小説であって歴史小説ではない。ロマンス小説、あるいは大衆小説として評価されるべきだ。

私の好みで語ると、嫌いな本がいくつもBestに選ばれていてイライラする。

なぜGoodreadsのChoice Awardsの結果はこうなってしまうのか?

答えは意外と簡単だ。

「読者は、自分が読んだ本の中からでないとベストを選べない」からだ。

1人が1年に読了できる本の数には限りがある。
私のような読書中毒者にも仕事があるから、今年は220冊+αくらいしか読めなかった。(その中には、夥しい数の読み捨て娯楽小説がある)

そもそも、ブッカー賞や全米図書賞の候補になるような文芸小説をすべて読み尽くしている読者なんて世界では稀な存在だ。たいていは、ニューヨーク・タイムズ紙のリスト、書店に平積みされている本、読書クラブで誰かが選んだ本、という「ベストセラー」のカテゴリから数冊を読むにすぎない。

Goodreadsの各カテゴリの候補作を全部読んでから投票している人なんて、ほぼ皆無だろう。私だって、好きなジャンルであっても全部は読んでいない。おのずと「自分が読んで知っている本」の中から選んで投票することになる。

だから、この賞のBestに選ばれるのは「一般読者が今年読んで知っている本のNo.1」なのだ。

そう思って読むと、イライラが減り、「なるほど」と面白くなるかもしれない。

 

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