The Queen of the Tealingの続編 The Invasion of the Tearling

著者:Erika Johansen
ハードカバー: 528ページ
出版社: Harper
ISBN-10: 0062290398
発売日: 2015/6/9
適正年齢:PG 15(高校生以上。性的コンテンツ、残虐シーンあり)
難易度:上級(だが、文法的にはシンプルで、センテンスも短い。文体に慣れれば読みやすい文章)
ジャンル:SF・ファンタジー
キーワード:魔力、魔法、呪い、ディストピア、王座、陰謀、戦国物語、冒険、ミステリ、ロマンス
三部作の第二部:① The Queen of the Tearling

The Queen of the Tearlingで、Red Queenが統治するMortmesne(モートメイン)との奴隷取引を廃止したKelseaは、一時は女王としてTearlingの国民から愛されるが、Mortmesneからの侵略が間近に迫るにつれ、側近からも批判の目で見られるようになる。

いっぽう、Kelseaを何度か危機から救ったエメラルドの首飾りは、夢遊病のようなかたちでTearlingが誕生した300年前の秘密をKelseaに教えようとしていた。そこに、首飾りとTealingを救う謎も含まれていそうだ。
だが、首飾りは、Kelseaを救うだけではなく、内外から彼女を変貌させていた。そこに秘められた暗い魔力を恐れながらも、Kelseaは依存症のように首飾りを外すことができない。

女王としての責務と19歳の若い女性としての欲求との間で悩むKelseaは、これまでのファンタジーの女性主人公にはない正直さと本物らしさがある。完璧でないからこそ、愛おしいキャラクターだ。
ロマンスの面でも、「運命の出会い」とか「一目惚れ」という、ありがちな感じではないのがいい。このあたりに、現代の若いアメリカ人女性のフェミニズムを感じる。

フェミニズムといえば、300年前のLilyのエピソードが、マーガレット・アトウッドのThe Handmaid’s Taleを思い起こさせる。アトウッドの小説を読んでいない若い読者にはこのテーマを考えさせるために良いことだと思うが、The Handmaid’s Taleを読んだ人にとってはLilyの部分は退屈だろう。

2部を読了した時点でも多くの謎は残ったままだ。
Kelseaの父は誰か? 謎の盗賊Fetchは誰なのか? エメラルドの首飾りはどういう意味と歴史を持つのか? Tearling王国の歴史でLilyはどのような役割を果たしたのか?

完結編の3部は2016年11月刊行の予定で、いまから待ちきれない。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

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