主人公の少女を応援せずにはいられなくなる児童書らしい児童書 Gertie’s Leap to Greatness

著者:Kate Beasley(新人) イラスト:Jillian Tamaki(コールデコット オナー賞受賞者)
ハードカバー: 256ページ
出版社: Farrar Straus & Giroux
対象: 9 – 12歳
ISBN-10: 0374302618
発売日: 2016/10/4
適正年齢:PG9(小学校3年生から高学年)
難易度:中級レベル
ジャンル:児童書(現代アメリカ)
キーワード:親子関係、学校での人間関係、アメリカの田舎


小学校5年生の少女Gertieの両親は離婚しており、海底油田掘削施設で働く父は不在が多いので、大叔母のaunt RaeがGertieたちの母親代わりになっている。幼い時に家を出た母親は、同じ町だが新しい夫と裕福な地域に住んでいて、Gertieと妹に会いに来たことはない。気にしないように暮らしてきたのだが、狭い田舎にウンザリした母親が町を離れることを知り、Gertieはある決意をする。
この世で最も素晴らしい5年生になって、自分たちを見捨てた母親を後悔させるのだ。

Gertieは完璧な計画を立てたつもりだったが、完璧な転校生が現れて教師から同級生まで皆を虜にしてしまう。しかも、この転校生がGertieを敵視していて、これまで仲が良かった友だちまで敵にしてしまう。

「最高の5年生」になれないばかりか、学校で孤立してしまったGertieだが、それでもあきらめない。唯一残った親友の手を借りて最後の勝負に出る。

最近のアメリカの児童書の多くは、近代的で都市型だ。
それはそれで面白いのだが、ニューヨークやシカゴとは全く異なるアメリカがあり、そこで暮らす子どもたちの生活はアメリカのテレビドラマに登場するようなものではない。

今年10月発売予定の児童書『Gertie’s Leap to Greatness』には、私たちが存在を忘れている「ふつうの田舎町」と「よくある家庭」が登場する。両親が離婚していて、貧しい生活だけれど、父や大叔母から愛されていて、けっこう楽しい子供時代を送っているGertieは、自己憐憫はないし、少々のことではへこたれない。何度失敗しても、自分で決めたら、運命はなんとかなると思っている。
そのシンプルな子どもらしさや素朴なストーリー性が、派手な小説が増えている現在には、かえって新鮮である。

 

Gertieの父親が海底油田で働いているという設定も、読者へのひとつの問いかけになっている。

著者のKate Beasleyは、出版社が期待をかけている新人作家だ。
そして、偶然の出来ごとなのだが、彼女が人生で初めて本にサインした読者が私なのである。これは、応援せずにはいられない。
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