政治の世界で若い愛は生き残れるのか?ワシントンDCの特異な世界をユーモラスに描く風刺小説 The Hopefuls

著者:Jennifer Close
ハードカバー: 320ページ
出版社: Knopf
ISBN-10: 1101875615
発売日: 2016/7/19
適正年齢:PG15(一部だが性的な場面あり)
難易度:上級(読みやすい文章だが、ユーモアを理解するためには時事に通じている必要がある)
ジャンル:風刺小説/女性小説
キーワード:ワシントンDC、アメリカ、政治家、大統領選挙、キャンペーン、夫婦関係

ニューヨーク市で有名な雑誌社に勤めていたベスは、弁護士のマットと偶然出会い、恋に落ちて結婚し、マンハッタンでスタイリッシュな新婚生活を送っていた。

ところが、もともと政治に興味があったマットがオバマの大統領選挙に加わり、ホワイトハウスでの職を得てからベスの人生はすっかり変わってしまう。

まずの変化は、ワシントンDCへの移住だ。マンハッタンが大好きなベスは、ワシントンDCのすべてが気に入らない。

スーパーマーケットの棚はいつも空っぽだし、道路を理解するのは不可能で、大統領が移動するたびに交通渋滞が起こる。いつも暑くて、地下鉄のエスカレーターは恐ろしく長く、メトロで立ち食いはできない。女性はアンテイラーのお店から出てきたばかりに見えるし、みんな首には身分証明書のタグをつけ、ブラックベリーを持ち歩く。
ディナーパーティでの会話は、内輪だけで通じる略語だらけ。2008年の大統領選で、いつオバマ候補のキャンペーンに加わったかで自慢競争があるし、ホワイトハウスのスタッフの間には外部には理解できない細かいヒエラルキーがある。
そのうえ、狭い世界なので、互いの嫉妬心も強い。

文句ばかり言う妻に、夫は「ワシントンのそんなにたくさんのことが嫌いだなんて、不可能だよ」と言うが、ベスは、「不可能じゃないわよ。とっても難しいけれどね。嫌うのにはすごくエネルギーを費やすし。でも、不可能じゃないわ」と保証する。

そんな妻を受け入れるマットは包容力がある理想的な夫で、この2人はなんとかやっていけそうだ。

ところが、ジミーとアッシュという若い夫婦と仲良くなったときから、ベスの運命は意外な方向に進み始める。ジミーはマットほどの深い知識や才能はないが、人を惹きつけるカリスマ性がある。ホワイトハウスでも、ジミーは大統領と直接関わる仕事に就くが、マットは地味な仕事のままだ。そのうえ、ジミーが故郷のテキサスで地方選挙に出馬することを決め、マットに選挙参謀を依頼した。マット自身が政治家になる夢を抱いていたのに、ベスはせっかく得た仕事をやめてテキサスについていくことになる。

オバマ大統領を応援したのは、エスタブリッシュメントに抵抗する若者であり、男女同権を唱える民主党の中でもさらにリベラルなはずだ。だが、オバマのスタッフのマットも、結局のところは、ベスがやっている仕事(ワシントンDCのオンライン政治ゴシップライター)なんて、自分のやっている重要な仕事に比べたらくだらない趣味にすぎないと思っているのだ。

伝統的な女性の役割につい従ってしまい、後でそれを苦々しく思うところに現代女性は深く共感を覚えるだろう。

読者の想像どおり、若い夫婦は危機に陥る。
それがどうなるのかは、最後まで読んでみつけてほしい。

都会的でスマートなユーモアが散りばめられている軽いタッチの女性小説だが、内側から見るアメリカの政治の世界は男性も楽しめること間違いなしだ。特にアメリカで大統領選が行われている最中だから、ぴったりの本だ。

それに、夫婦が互いの心理を理解しあう上でも、ちょっとした助けになるかもしれない。

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