コスタ賞処女小説部門最終候補のスリラー The Girl in the Red Coat

著者:Kate Hamer
ハードカバー: 336ページ
出版社: Melville House
ISBN-10: 1612195008
発売日: 2016/2/16
適正年齢:PG15
難易度:上級(ネイティブの普通レベル)
カテゴリ:スリラー
キーワード:イギリス、少女誘拐
文芸賞:コスタ賞処女小説部門候補作(2015年)

離婚したばかりのシングルマザーのベスにとって、世界で最も大切なのは8歳の娘カーメル(Carmel)だけだ。
天賦の才があるカーメルは、ふつうの子どもとはちょっと違う。ベスはカーメルのために何でもするつもりだが、元夫は新しい妻との生活に心奪われているのか、娘に会おうともしないし、援助もしない。

霧が深いある日、フェスティバルの人混みの中で、ベスはカーメルを見失う。そして、カーメルは姿を消してしまった。赤い服や靴が大好きだったカーメルは、その日も赤いコートを着ていた。この日から、ベスの人生はカーメルを待つだけのものになってしまう。

子どもが姿を消し、母がやみくもになって探すというスリラーは、この分野が好きな読者にとってはデジャヴ感がある。ベスの設定は以前私がレビューした『What She Knew』によく似ていて、一瞬「この本、もう読んでいたっけ?」と首を傾げたほどだ。

しかし、この小説ではベスとカーメルのストーリーが並行して進むところが異なる。読者はカーメルに何が起こっているのかをすぐに知ることができるので、謎解きという点では意外性はない。「いったい、どのようにして終わるのか?」という疑問と不安感に背中を押されて読む点では、『Room』(下記)に似たところがある。

 

カーメルの誘拐は、アメリカでも実際に起こった犯罪を思わせるところがあり、その詳細もよく描かれていた。

驚きはないが、最後まで飽きさせない文章力は、コスタ賞などの最終候補なるだけの価値がある。今後が楽しみな新人だ。

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