LGBT以外の性マイノリティの心境を描くヤングアダルト小説 Symptoms of Being Human

著者:Jeff Garvin
ハードカバー: 352ページ
出版社: Balzer + Bray
ISBN-10: 0062382861
発売日: 2016/2/2
適正年齢:PG12(性的な問題を扱っており、高校生向けだが、中学生でも読んでためになる本)
難易度:中級+(文章よりも、アメリカの若者の文化とそれを反映する英語を理解するほうが難しいだろう)
ジャンル:YA(ヤングアダルト)
キーワード:LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クイア)、gender fluid(性別が流動的な人)、差別、いじめ、暴力

カリフォルニア州でもっとも保守的なオレンジ郡に住む高校生のRileyは、事情があってカトリックの私立高校から公立高校に転校することになった。
理由のひとつは、再選を狙う連邦下院議員の父親のためだ。
教育改革を政策に挙げる議員の子どもが私立高校に通っているのは印象が良くない。そこで、地元の公立高校に移ることになったのだ。だが、Rileyにとっては、前の学校での執拗ないじめから逃げるためでもあった。

心理セラピストだけが知っているRileyの秘密は、Rileyがgender fluidだということだ。gender fluidの人は、時によって自分が女性だと感じたり、男性だと感じたりする。つまり、ジェンダーに流動性があるということだ。けれども、ゲイやバイセクシュアル、トランスジェンダーに比べて、知る人も少ないし、理解してもらえることも少ない。

保守派の議員である父親にはもちろん、母親にも打ち明けることができないRileyは、追い詰められるとパニックを起こしてしまう。

Rileyに初めて会った人は必ず心の中で「こいつは男なのか? 女なのか?」という疑問を抱く。
そして、高校では、それをおおっぴらに口にしていじめる者がいる。

転校した公立高校で、Rileyは2人の重要な友人を作る。けれども、それと同時に危険な敵も作ってしまう……。

LGBTQの最後のQは、Queerの略であり、LGBTのカテゴリに属さない性的マイノリティがここに含まれる。
Rileyのgender fluidもそのひとつだ。

ただでさえ生きるのがつらい思春期なのに、性的マイノリティのティーンは、大切な家族や友人からも理解されず、学校ではいじめや暴力にあい、自殺する者も多い。

Jeff Garvinの描くRileyは、ティーンの読者を当事者の気持ちに寄り添わせてくれる。そこが魅力だ。

また、この本では、最初から最後までRileyがどちらの性で生まれたのかわからない。
そこにもこの小説のメッセージが含まれている。

後半少しダラダラしたのが気になったが、ぜひ読んでいただきたい本である。

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