ニール・ゲイマンがわかりやすく書き直した北欧神話 Norse Mythology

著者:Neil Gaiman
ハードカバー: 299ページ
出版社: W W Norton & Co Inc
ISBN-10: 039360909X
発売日: 2017/2/7
適正年齢:PG15(性的な話題あり)
難易度:中級+〜上級(文章は非常にシンプル)
ジャンル:神話/ファンタジー
キーワード:Norse Mythology, 北欧神話、スカンジナビア神話、オーディン、ロキ、ソー、トール

現在存在する「ファンタジー」小説の原点は、世界各地に存在する神話や民話にある。

多くの作家に影響を与え続けている、J.R.R.トールキンの壮大なファンタジー『The Lord of the Rings(指輪物語)』もまた、数多くの神話の影響を受けている。そのひとつが、Norse Mythology(北欧神話)である。

アメコミが原作の映画『Thor(マイティ・ソー)』の主要人物であるオーディン、ソー、ロキなども北欧神話から拝借したものだ。

北欧神話の影響を受けているファンタジーを挙げ始めるときりがないが、原作を読むのはそう簡単ではない。それを、わかりやすく解釈して現代版に書き直してくれているのが、Neil Gaimanの新作『Norse Mythology』だ。

北欧神話は、キリスト教が入り込んでくるまでのスカンジナビアでノース人が信仰していた神話である。キリスト教の厳格な神と比べると、Norse Mythologyの神々は信じられないくらい奔放だ。倫理観は皆無で、自分の欲を優先する。Thor(ソー/トール)は巨人を殺すのが趣味のようだし、ロキは自分のイタズラで誰がどんなにひどい目にあおうが知ったことなし、である。

こういった神々を作った昔の人々は、人生で理不尽なことが起きるたびに、「身勝手な神がやることだから、仕方ないよね」と諦めていたのかもしれない。

こういった「自己チュー」な神々のエピソードを、Gaimanはユーモアたっぷりに、そして現代のファンタジーのように語ってくれる。

Norse Mythologyに興味があったけれど、何を読んでいいのかわからなかった人には最適の本である。

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