あのとき異なる選択をしていたら、私の人生はどうなっていただろう? 多元宇宙をテーマにしたロマンス Maybe In Another Life

作者:Tylor Jenkins Reid
ペーパーバック: 352ページ
出版社: Washington Square Press
ISBN-10: 1476776881
発売日: 2015/7/7
難易度:中級+〜上級
適正年齢:R(成人向けの内容だが、露骨な性描写はあまりない)
ジャンル:chick-lit(女性小説)、ロマンス
キーワード:恋愛、多次元宇宙、選択

2015年にいろんな雑誌で話題になっていたのだが、読みそびれていた女性小説(chick-lit)。

ある程度生きた人は、人生を振り返って、「あのとき、異なる選択をしていたら、私の人生はどうなっていただろう?」と考えることがあるはずだ。良くなっていたかもしれないし、ものすごく悪くなっていたかもしれない。長年連れ添った伴侶が異なる人だという可能性もある。

そんな疑問を膨らませたのが、この『Maybe in Another Life』だ。

ハナ・マーティンは、29歳になった今でも根なし草のように生きている。故郷のロサンゼルスを離れて大学を卒業してから6つの異なる都市に住み、キャリアに無縁の職を転々としている。

恋愛でも特に長続きすることはなく、最後のボーイフレンドは既婚者だということを隠していた。その彼と縁を切ったのを機に、ハナはニューヨークからロサンゼルスに戻り、幼い頃からの親友であるガビーの家に転げ込んだ。

ハナが戻ったのを記念して、昔からの友人が集まってバーでパーティをすることになった。
その夜、ハナは高校時代のボーイフレンドであるイーサンに再開した。

イーサンとハナのどちらにとっても初恋であり、当時は「ソウルメイト」だと信じていた相手だった。だが、ひとつ年上のイーサンが先に大学に行き、別れたのだった。どうやら、イーサンはよりを戻したがっている雰囲気だ。

イーサンの誘いに乗って一緒に彼のアパートに戻るかどうかハナは迷う。

「イエス」と答えたハナと「ノー」と答えたハナのふたつの運命がここから変化していく。
その結果、ハナの人生はどうなったのだろうか……?

この設定は興味深いし、面白そうだ。しかし、軽くて甘いロマンスを期待する人以外は、たぶんがっかりするだろう。というのは、ハナを含めて、登場人物たちの選択が安易すぎるのだ。多くのchick-litに苛立つのがここなのだが、ふつうの人のほうが、もっと自分の人生について深く悩んでいるし、悩んだ上でちゃんとした選択をしていると思うのだ。「性格が良い」というのがハナの長所らしいが、私が男性なら、ここまで軽い女性とマジで人生を分かち合いたいとは思わない。

とはいえ、「ひとつのチャンスを失っても、次のチャンスが待っている」とか「人生で自分に合うパートナーはひとりではない」という楽観的な見解も抱かせてくれるし、「幸せは自分で作るもの」というメッセージもある。
最後まで面白く読ませる力はあるので、気晴らしの読書にはおすすめ。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 多くの職を体験し、東京で外資系医療用装具会社勤務後、香港を経て1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 100 reviewer.

あのとき異なる選択をしていたら、私の人生はどうなっていただろう? 多元宇宙をテーマにしたロマンス Maybe In Another Life」への2件のフィードバック

  1. あああ、分かります!この作者の別の本、After I Doが気に入ったので読んだんですけど、ちょっと安直で軽すぎるタッチにはげんなりしました(途中で読むのをやめそうになったくらい。。。)スタイルとかコンセプトは面白いとは思ったんですけれど。。。

    いいね: 1人

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

w

%s と連携中