「信頼できない語り手」の深層心理を作中の小説が暴く嫌ミス Lies She Told

作者:Kate Holahan
ハードカバー: 279ページ
出版社: Crooked Lane Books
ISBN-10: 1683312953
ISBN-13: 978-1683312956
発売日: 2017/9/12
適正年齢:PG 15(やや性的コンテンツあり)
難易度:上級(文法的には難しくないが、登場人物が多く、プロットが複雑なので混乱する可能性あり)
ジャンル:心理サスペンス
キーワード:不倫、殺人、夫婦間の嘘、文中劇、嫌ミス

マンハッタンに住む作家のライザは、次の小説のアイディアと夫との関係で悩んでいた。
ベストセラーの心理スリラーを出した後の作品があまり売れなかったために編集者からありがたくない指導をされ、子供がほしくてたまらないのに、夫との仲は冷え込んでいた。夫の弁護士事務所のパートナーが失跡しているのがその原因のひとつだ。ライザが自分と同じようにパートナーを案じないことに夫は憤っているようだった。

編集者から締め切りを言い渡されたライザは、私生活での不安を抑えて小説を書き始めた。
主人公は子供を産んだばかりの若い妻ベスだ。ベスは、夫が浮気していることを直感し、その相手を確定する。だが、図らずも愛人と対峙することになり、殺人を犯してしまう、というものだ。

ライザの現実と、ベスの物語が並行して進むうち、現実とフィクションの世界が微妙に混じり合うようになる。それには、どんな意味があるのか?

心理サスペンスでは「信頼できない語り手」の手法がよく使われるが、この『Lies She Told』もそのひとつだ。ライザの深層心理は、ベスの物語を通じて何を伝えたがっているのか? 何を隠そうとしているのか? これらの嘘は誰が誰に対してついたものなのか……? そういったことを考えながら読むと味わいがある。

嫌ミス(嫌な気分にさせるミステリ)の代表的存在である『Gone Girl』、有名な古典の『The Talented Mr. Ripley』的なところもあり、それらの作品が好きな人は楽しめるだろう。

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