死ぬ日を予告された4人の兄弟姉妹が選んだ生き方 The Immortalists

作者:Chloe Benjamin
ハードカバー: 352ページ
出版社: G.P. Putnam’s Sons
ISBN-10: 0735213186
発売日: 2018/1/9
難易度:上級〜上級+
適正年齢:R (露骨な性描写あり)
ジャンル:文芸小説
キーワード:死の予言、予言師、同性愛、エイズ、マジック、執着、不老不死、抗老化医学

1960年代、マンハッタンのロウアー・イーストサイドは、移民やその子孫が集まる労働者階級の地域だった。
父が洋服屋を経営するゴールド一家の4人の子供たちは、アメリカ式の長屋に匹敵するアパートメントビルを遊び場にして育った。

1969年、13歳の長女ヴァーヤ(Varya)、11歳の長男ダニエル(Daniel)、9歳の次女クララ(Klara)、7歳の次男サイモン(Simon)は、人が死ぬ日付を正確に予言するという噂の予言師をついに探し当てた。ヴァーヤは「もし、大人になるまでに死ぬと言われたらどうするの?」と気が進まなかったが、リーダー格のダニエルの「それなら、なおさら知ったほうがいい」、「すべてのことをやりとげられるから」という強い意見に負けて、ついに全員が後に従った。

女予言師から個々に「死ぬ日程」を告げられた兄弟姉妹は、それぞれショックを受けるが、その内容を誰にも告げず、心に秘める。

若くして死ぬ予言をされたサイモンは、16歳のときに唯一の理解者である姉のクララと一緒に家出をし、サンフランシスコで暮らし始めた。そこでは、同性愛であることを隠す必要もなく、サイモンはゲイバーでバレエを踊るパフォーマーになる。ちょうどこの時期から、同性愛者の間で「謎のがん」が広まっていった。後のHIV(エイズ)のことだ。

クララの夢は、祖母のように魔術パフォーマーになることだった。貧困のなかでも技を極め、理解者であるインド出身の男性と結婚し、子供も産むが、「死ぬ日の予言」が人生に陰を落とし続ける。

努力家のダニエルは軍医になるが、予言師に会いに行く提言をした自分に責任を感じ続ける。その責任感は予言師への強い憎しみに変わり、復讐に生涯を費やすようになる。

長寿を予言されたヴァーヤは、不老不死を研究する抗老化医学の研究に一生を捧げた。サイモンやクララのように人と関わらず、ほとんどの人生を自分の頭の中で過ごす。

クロエ・ベンジャミン(Chloe Benjamin)の『The Immortalists』は、兄弟姉妹それぞれが主人公の4つの短編小説を組み合わせたオムニバスのような感じの長編小説だ。昨年5月末に参加したBookExpo America(BEA)のミーティングで「注目の作品」として紹介され、今年1月の発売後にも高い評価を得ている。

「死ぬ日がわかったら、どう生きる?」というのは、とても興味をそそられるテーマだ。

また、完成当時まだ28歳という若い作家が書いたものとは思えない濃厚な小説であり、文章力も際立っている。ベンジャミンが卓越した才能に恵まれた作家だということは、紛れもない事実だ。

しかし、私自身はあまり熱意を抱けなかった。

「これは死に関する本ではなく、どう生きるのかという本だ」とThe Nixの作者が推薦を書いているが、私は逆の印象を抱いた。「死ぬ予定日」を知らされたゴールド家の兄弟姉妹は、誰ひとりとして「知ること」の恩恵を得なかった。それどころか、すべての選択が「死ぬ予定日」に操られていた。どんなに素晴らしい文章であっても、そういう息苦しい生き方を4つ続けて読まされたくはない。それが正直な感想だった。

人はいつか死ぬ。それは誰にもわかっていることだ。
でも、いつ死ぬかわからないから、未来を信じて今日の生き方を選ぶのだ。

それを加味して、良い意味で読者を裏切ってほしかった。

そう思うのは、私が登場人物のクララと同じ年に生まれ、60歳近くまで生きたからかもしれない。つい「人生はそんなもんじゃないよ」と言いたくなってしまうのだ。
作者のベンジャミンが私と同じ年齢になったとき、この小説を読み直してどう思うのか、尋ねてみたいものだ。
そのためには、私自身がimmortalになる必要があるけれど。

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