魔術師のテーマパークで繰り広げられる幻想的で残酷なゲーム  Caraval (Caraval 3部作 第1巻)

作者:Stephanie Garber(デビュー作家)
ハードカバー: 407ページ(ソフトカバーも入手可)
出版社: Flatiron Books
ISBN-10: 1250095255
発売日: 2017/1/31
適正年齢:PG12(ティーン向け、キス程度、露骨な性的場面なし)
難易度:中級+(多読用の児童書からステップアップしたい人にお薦めのレベル)
ジャンル:YAファンタジー
キーワード、サブジャンル:魔法、魔術師、中世的な世界、嘘、幻想、ロマンス、ティーン

スカーレット(Scarlett)とドナテラ(Donatella)はひとつ違いの姉妹だが、外見も性格もまったく異なる。スカーレットは生真面目で責任感が強く、テラは自由奔放だ。母親がこつ然と姿を消したのは2人がまだ子どもの頃で、それからのスカーレットは母親の代わりに残酷な父親から妹を守ろうとしてきた。だが、それも限界に達していた。そこで、故郷の小さな島の知事を勤める父が隣国の貴族との結婚をアレンジしたとき、スカーレットは妹と一緒に父から逃れる唯一の機会だと期待をかける。

結婚式を目前に控えたとき、スカーレットは「カラヴァル(Caraval)」の主であるレジェンドから手紙を受け取った。

カラヴァルは、魔術師のレジェンド(Legend)が作り上げたマジカルな場所である。かつては、サーカスのように地方を巡業して魔術を披露していたのだが、参加者の女性が死亡した事件をきっかけにしばし中断されていた。レジェンドはふたたび魔術のパフォーマンスを始めたのだが、事件以降はカラヴァルから出ることはなかった。スカーレットにカラヴァルとレジェンドのことを教えてくれたのは、祖母のアナリースだった。50年前にレジェンドがこの島を訪問したときに見初められたという祖母はもう亡くなったが、愛よりも絶大な魔力を選んだレジェンドは当時と同じ歳のままだという伝説だ。

マジカルな体験を夢見るスカーレットはレジェンドに「この島に来てほしい」という手紙を7年間書き続けたのだが、返事をもらったのはこのときが初めてだった。しかも、「招待者のみ」の次のパフォーマンスへの招待状つきで。だが、そのパフォーマンスに参加したら、結婚式を逃してしまう。理性で諦めていたスカーレットだが、ドナテラと島に短期滞在している水夫のジュリアンの策略で3人揃ってカラヴァルに行くことになる。

カラヴァルに向かう途中でスカーレットはドナテラと別れ別れになる。ジュリアンはカラヴァルの内部に入り込めばすぐに会えると約束するが、足を踏み入れたとたん、スカーレットは望まないゲームを戦うことになる。

なぜなら、妹を無事に取り戻す唯一の方法がゲームに勝つことだからだ。

しかし、すべてが魔法で操られているカラヴァルでは、偽りと真実の違いがなかなか見分けられない。誰がレジェンドの雇ったパフォーマーで、誰がゲームの参加者かもわからない。そのうえ、金貨も常識も通用しない。ここでの通貨は、「秘密」や「2日分の命」といったものなのだが、取引を終えるまでそこに隠された罠には気づかないようにできている。だから簡単に取引はできない。

ルールが理解できないままにゲームを戦うスカーレットは、レジェンドが隠れた目的を持つことに気づき始める。ゲームごとに顔を変えるというレジェンドは、いったい誰なのか? レジェンドが魔法で操るゲームに勝つ方法はあるのか? そもそも、「誰も信じるな」という忠告を与えた人物を信じていいのか……?

舞台のカラヴァルはベニスのような場所だが、すべてに魔法がかかっているために、ディズニーランドかユニバーサル・スタジオのような印象を与える。表層は人畜無害のテーマパークなのに人が死ぬ可能性があるギャップが不気味さを際立たせている。

ティーン対象のYAファンタジーなので恋の部分は単純すぎるようにも感じるが、魔術が支配する世界や不気味なテーマパークを走り回る冒険の部分は、自分でも体験したくなる(もちろん生命の危機がない範囲で)。

一応ゲームの決着はつくのだが、3部作なのですべての疑問への答えは出ない。2作目は今年発売の予定。

コメントを残す