サラ・ジェシカ・パーカーが選ぶ出版ブランドからの第一号は、インド系移民の家族物語 A Place For Us

作者:Fatima Farheen Mirza
ペーパーバック: 400ページ
出版社: SJP for Hogarth(サラ・ジェシカ・パーカーがキュレーションをするインプリント)
ISBN-10: 0525575820
発売日: 2018/6/12
適正年齢:PG15
難易度:上級〜超上級(時間があちこちに飛ぶので慣れていない人は理解しにくい)
ジャンル:現代小説(家族ドラマ)
テーマ/キーワード:アメリカの移民、インド人、イスラム教徒、宗教、伝統、親子、姉弟、家族関係、移民体験

 

インドからアメリカに渡ったイスラム教徒の家族の2代にわたる物語。

レイラは親が相手を決める伝統的な方法でアメリカに住んでいるラフィクと見合い結婚し、それまで訪問したこともなかったアメリカのカリフォルニアに移住した。インド出身のイスラム教の同じ宗派の人々で構成されたコミュニティに属したものの、留守が多い夫の手を借りずに慣れない場所で3児の母になるのは、若いレイラにとって簡単なことではなかった。しかし、レイラは夫の留守に寂しさを覚えながらも、「良き母」であり「良き隣人」として期待に応える努力をしてきた。

だが、モスクでの宗教教育や両親の厳しい躾にもかかわらず、3人の子供たちはアメリカ生まれのアメリカ人として両親の価値観を揺るがすようになっていった。

長女のハディアは幼い頃から利発で、父の自慢の子供だった。だが、独立心が旺盛すぎて、伝統を裏切って親が紹介する見合い結婚はせず、医師になった。

次女のフーダも見合い結婚には興味を示さず、いつまでも独身でいるのだが、上の2人の娘よりも問題なのが、末っ子の息子アマールだった。

子供の頃から学校で問題を起こしていたアマールは、父とも衝突が多く、ある出来事をきっかけに何年も音信不通になっていた。

ハディアが自分で選んだ相手と結婚することになり、家族の中で最もアマールと仲が良かったハディアは弟を結婚式に招待した。

インドの伝統的な結婚式が行われている最中に、家族のメンバーはそれぞれに過去に思いを馳せ、自分がおかした過ちを悔いる……。

本書は、SJP for Hogarth という出版インプリント(ブランド)から刊行された初めての小説である。SJP for Hogarthは、ペンギン・ランダムハウスの傘下にあるCrown and Hogarth出版グループの新しいインプリントなのだが、このSJPとは、20年くらい前に大ヒットしたテレビドラマ『Sex And The City(セックス・アンド・ザ・シティ)』の主人公ケリーを演じた女優のサラ・ジェシカ・パーカーのことなのだ。

サラ・ジェシカ・パーカーは、大の読書家であり、監督業もしている。パーカーがCrown and Hogarthとの提携で、自分の読書テイストで本を探し、キュレーションするのがこのインプリントなのである。

そして、パーカーが最初に選んだのが、若きインド系アメリカ人女性作家のデビュー作『A Place For Us』だ。

この本では、多くのアメリカ人が知らないイスラム教徒のインド系アメリカ人の家族が描かれている。文化や宗教の違いは興味深いが、この小説で描かれている姉弟間のライバル意識や、親子関係の歪などは、全世界共通のものだ。

多くの登場人物の体験や思考が過去と現在を行き来するこの小説は、はっきり言って読みにくい。だが、インド系作家にはよくある手法であり、それがかえって好きな読者もいるだろう。

いったん入り込めば、400ページはそう長く感じないだろう。

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