キューバ系アメリカ人の祖国への心情が理解できる「女性小説」 Next Year in Havana

作者:Chanel Cleeton
ペーパーバック: 400ページ
出版社: Berkley
ISBN-10: 0399586687
発売日: 2018/2/6
適正年齢:PG15(露骨なラブシーンなし)
難易度:中級+〜上級(特別な読解力を必要としない文章だが、ページ数は多い)
ジャンル:ラブストーリー/chick lit
テーマ/キーワード:キューバ、キューバ革命、カストロ、アメリカ亡命、キューバ系アメリカ人、悲恋、ラブストーリー

リース・ウィザースプーンが7月のブッククラブに選んだNext Year In Havanaは、キューバ革命が起こったときの状況や、アメリカのキューバ系移民が祖国に対して抱く感情、現在のキューバの状況などを、1958年と、2017年という2つの異なる時代で2人の女性が体験するラブストーリーを通じて描いた小説である。

キューバでは1952年にフルヘンシオ・バティスタが軍事クーデターで大統領になったが、親米の独裁政権で平民の暮らしはますます悪化していた。共産主義に影響を受けた反バティスタの左翼グループの活動が強まり、特にフィデル・カストロとチェ・ゲバラが率いるグループが地方から勢力を伸ばしていた。

砂糖産業の富豪を父に持つ19歳のエリーザは、他の階級の者との接触が許されない箱入り娘として生きてきた。だが、1958年に親に内緒で参加したあるパーティで、カストロの革命に加わっている男性と出会い恋におちてしまう。兄も別の反バティスタのグループに加わり、父から勘当されていたが、その兄からもエリーザは恋人が加わっているグループが特に危険だと忠告された。

そして、バティスタが亡命し、カストロが勝利し、命の危機を感じたエリーザの家族は、最小限の荷物だけを持ってアメリカに逃げた。カストロがパワーを失ったらキューバに戻るつもりで。Next Year In Havanaとは、マイアミに亡命したキューバ人たちが使う合言葉だ。

だが、カストロは権力を失うこともなく、長生きをし、多くのキューバ系移民1世は、二度と故郷の土を踏むことはなかった。エリーザもそうだった。

祖母のエリーザを母代わりにして育ったマリソルは、祖母から何度も聞かされたキューバにロマンチックな感情を抱いていた。祖母が心臓発作で急死した後、遺言に従って遺灰をハバナで撒くためにマリソルはキューバを初めて訪問した。

マリソルは祖母の親友だったアナとその孫息子の援助で、エリーザの過去を学んでいく。だが、キューバの社会にはまだ民主主義はなく、マリソルの周囲にも危険が迫ってくる……。

アメリカ、フロリダ州マイアミにはキューバ系アメリカ人の強いコミュニティがある。多くのキューバ系アメリカ人は、メキシコその他の中南米国からのラテン系移民とは異なり、保守の共和党を支援することが多い。それには、彼らがアメリカに亡命するきっかけになったキューバ革命と長年にわたるフィデル・カストロの独裁政権が強く影響している。

Cleetonはロマンス小説でデビューした作家であり、Next Year In Havanaもロマンス小説的な雰囲気がある。だが、キューバ革命やその影響をラブストーリーを中心に置いた娯楽小説としてわかりやすく描いてくれているところがいい。これを読むと、マイアミに住むキューバ系アメリカ人が抱く感情がすんなりと理解できる。

そして、なぜキューバ系アメリカ人がアメリカで政治家を沢山生み出しているのかも。

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