スティーブ・ジョブズが長年存在を認めなかった娘の回想録 Small Fry

作者:Lisa Brennan-Jobs
ハードカバー: 400ページ
出版社: Grove Press
ISBN-10: 0802128238
ISBN-13: 978-0802128232
発売日: 2018/9/4
難易度:上級(普通の回想録より文芸的な文章)
適正年齢:PG15
ジャンル:回想録
キーワード:スティーブ・ジョブズ、娘

スティーブ・ジョブズについてはすでに多くの場所で書かれているし、回想録も出ているので説明の必要がないだろう。彼の最初の子どもであるLisaについても、けっこう知られている。

だが、リサが書いたこの回想録では、これまであまり知られていなかった「父」としてのジョブズの姿があからさまに描かれている。それが、以前の回想録で読んだよりも強烈なのだ。

ジョブズは高校時代のガールフレンドが妊娠したときからリサが自分の子どもであることをずっと否定してきたので、リサは気まぐれなシングルマザーの母と一緒に貧困の中で育った。そして、せっかくハーバード大学に入学したというのに、大富豪のジョブズはちょっとしたことに腹を立てて学費の支払いを拒むのだ。そのためにリサは大学に戻れなくなって、ジョブズを嫌っている近所の夫婦から学費を恵んでもらうことになる。ハーバード大学を含むアイビーリーグ大学には低所得者のための返金不要の奨学金があるのだが、両親の収入が多いとその奨学金は受けられないのだ。

ジョブズは娘の心を傷つける呆れたことを何度もしてきたが、その中でも象徴的なのがアップルの初期のデスクトップコンピュータ「Lisa」についてだ。私はけっこう昔から「ジョブズはコンピュータに娘の名前をつけた」という情報を信じていたのだが、ジョブズが他人から尋ねられるたびに「娘の名前とは関係ない」と否定し続けていたという事実は驚きだった。どうせ周囲はそう思っているのに、なぜわざわざ娘の気持ちを傷つけたのだろうか? ジョブズ本人にたずねてみたかったところだ。

リサが自分の娘だと認めてからもジョブズのリサに対する行動は気まぐれそのもので、読んでいるこちらのほうが辛くなる。

それでも娘は親に愛される努力をする。そのあたりが、離婚した後に父親から見放され、父方の家族の行事に招かれなくなったアメリカ人の甥と姪を連想させ、切なくなった。

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