愛情たっぷりに育ててくれた親が自分を誘拐した犯人だったとしたら……? オーストラリア人作家のハイコンセプト・スリラー The Nowhere Child

作者:Christian White
ハードカバー: 384ページ
出版社: Affirm Press
ISBN 9781925584523
発売日: 2018/06/26(オーストラリアでの発売日,アメリカでは2019/1)
適正年齢:PG15
難易度:上級
ジャンル:ミステリ/スリラー
キーワード/テーマ:誘拐、家族の秘密、宗教、キリスト教原理主義
文芸賞:Victorian Premier’s Literary Awards 2017

オーストラリアのメルボルンの大学で写真科学を教えている28歳のキンベリー(キム)のところに、ある日アメリカ訛りがある男が現れて彼女の兄だと名乗った。キムは、2歳のときにアメリカのケンタッキー州で姿を消したサミーという少女なのだという。

シングルマザーだった実母と、彼女が結婚した義父に愛情たっぷりに育てられたキムは兄だという男の言葉を信じられない思いだったが、DNAテストの結果は説得力があった。母は癌で亡くなっていたが、義父を問い詰めたところ彼女がキムの実の母親ではないことを告白した。

母が再婚した後で生まれた妹と義父の反対を無視し、キムは兄と一緒にケンタッキー州に向かう。だが、そこで彼女を出迎えたのは実の家族からの心温まる歓迎ではなかった。キムは、家族が抱える暗い過去と誘拐事件の複雑な真相を追ううちに、生命の危機にさらされるようになる。

誘拐には暗くて残酷なイメージがある。そして、たいていはそのとおりだ。だが、愛情たっぷりに子どもを育てた親が実は誘拐犯だとしたら、どうだろう? その場合には、状況に複雑な事情や理由があるはずだ。Christian WhiteのThe Nowhere Childは、そういったケースを想定して作られた心理スリラーであり、非常に説得力があるストーリーだ。

読者は途中で事情をほぼ予測できるが、最後まで読むと、それだけではない真実やツイストも出てくる。

残念なのは、真相がわかった後のキムと誘拐した親の関係がしっかりと描ききれていないところだ。だが、全体的に読みごたえがあるスリラーだった。

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