サイコパスがお好きな方専用スリラー My Lovely Wife

作者:Samantha Downing(デビュー作家)
ハードカバー: 384ページ
出版社: Berkley
ISBN-10: 0451491726
ISBN-13: 978-0451491725
発売日: 2019/3/26
適正年齢:R
難易度:上級
ジャンル:心理スリラー
キーワード:サイコパス、連続殺人

心理スリラーは非常によく売れているジャンルで、このデビュー作家による『My Lovely Wife』は今年注目の心理スリラーのひとつである。

心理スリラーを読み尽くしている読者は、タイトルと表紙を見て「完璧な妻がじつは黒後家蜘蛛のような怖ろしい奴だった」という話であり、蜘蛛の糸に絡まれて身動きできなくなるのは夫じゃないかと推測する。

では内容はどうだったのか? ネタバレをなるべく避けて解説を試みよう。

読み始めると、語り手は夫である。悪いことを嫌々やっている感じがあり、気が弱そうだ。ここにも妻の底しれぬ不気味さをジワジワ感じる。

だが、じきに「待てよ」と思う。どうやら「そういう話」ではなさそうだ。

きっと「こういう話」なのだろう、と推測を変えてみる。

しかし、「こういう話」でもないのだ。ツイストアンドターンをご用意してくださるのだが「えっ、それって飛躍しすぎじゃ? 心理的に説得力ないよ」というものばかり。Gone Girlを狙ったのだと思うけれど、あの本はありえないこともありえるように読ませてくれる力があった。

かくして、あたかも簡単に人が殺されていく派手な筋書きなのだが、ドキドキハラハラするかわりに徹底的に飽きてきてしまった。

それでも最後どうなるのか知りたくて一応読んだが、最後も「びっくりエンディングを狙いました」という感じで何の驚きもなし。

心理スリラーは心理が面白いのだけれど、これはサイコパスの連続殺人が読みたい方のみにオススメの本。

1 Comment

  1. 私の評価は星一つ。Goodreads では平均3.9と高評価で驚いたのですが、渡辺さんの書評を読んで「私はサイコパスがあまり好きではないからだな」と安心しました(笑)。

    ロックダウン以来読んだ犯罪スリラー小説の中では、Gytha Lodge の『She Lies in Wait』と Harriet Tyce の『Blood Orange』は「なんだかなぁ・・・」という感じでしたが、Alex North の『The Whisper Man』はけっこうおもしろく読みました。

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