子ども時代の不安を正直に語る自伝的グラフィックノベル『Guts』

作者:Reina Telgemeier
Paperback: 224 pages
Publisher: Graphix
ISBN-10: 0545852501
ISBN-13: 978-0545852500
発売日:September 17, 2019
対象年齢: 8 – 12
学年: 小学校3年生 – 中学生
Lexile指数: 480
難易度:初級〜中級
ジャンル:グラフィックノベル/回想録/児童書
キーワード、テーマ:不安、胃腸障害、思春期、友人関係
2019年 これを読まずして年は越せないで賞候補

アメリカには、日本の漫画とは異なる「グラフィックノベル」というジャンルがある。物語をコミックで伝えるもので、画風も日本の漫画とは異なるが、子どもから大人まで人気があるジャンルだ。
Reina Telgemeierは、ベイエリアで育った子ども時代を振り返る自伝的なグラフィックノベルで有名で、特に大きなことは起こらないのに、読者の共感を得ていつもベストセラーになる。

Telgemeierの最新作は、タイトルのGUTS(胃腸の俗称)から想像できるように、胃腸障害がテーマである。作者が子供の頃、あるきっかけから嘔吐や腹痛を繰り返すようになり、学校で嫌がらせをする同級生についての悩みと重なり、胃腸障害を伴う不安障害になってしまう。

たったそれだけのこと、と感じるかもしれないが、小学生のときに過敏性大腸症候群で1ヶ月学校に行けなかった体験を持つ私には他人事とは思えなかった。同級生からの嫌がらせを教師にわかってもらえない悩みもそうだ。大人から見たらたいしたことがないことでも、子供の世界では大きな悩みになりがちだ。読んだ子供たちは、「ああ、自分もこう感じていいんだ」とほっとした気分になれるだろう。

こういったグラフィックノベルが小学生向けに書かれていて、しかも学校の図書館にもあり、ベストセラーになることにとても大きな意味があると思う。

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