作者:Katherine Arden
ハードカバー: 384 pages
Publisher: Del Rey
ISBN-10: 1101885998
ISBN-13: 978-1101885994
適正年齢:PG15+
難易度:上級
ジャンル:ファンタジー
キーワード:Winternight三部作、The Bear and the Nightingale, The Girl in the Tower,ロシア、民話
伝統的なファンタジーのファンを虜にしたWinternight三部作が完結したのは、嬉しくもあり、寂しくもあった。「シュレーディンガーの猫」のように、完結編を読む前は、主人公のVasyaや彼女が大切にする人びとの運命はいかようでもあったわけだが、完結編を読んでしまったら、運命はもう決まってしまう。私もそうだが、Katherine Ardenが作り上げたWinternightの世界と登場人物たちを愛する読者にとっては悩ましいことだったにちがいない。読み始めるのが少し怖かったのも事実だ。
でも、読んでほっとした。悲しいところも切ないところも数々あったけれど、非常に充実した読み応えだった。Vasyaは自分を魔女として敵視する人びとや王国を救い、同時に自分が愛する死の神のMorozkoも救おうとする。YAファンタジーにつきもののロマンスのように、容易な解決策はない。そして、そこがこの三部作の良いところだった。
誰からも理解されずに、世界を救う責任を背負うVasyaは、強さと脆弱さが混じるファンタジーの理想的なヒロインだった。

冬のさなかに読むと凍えそうになるかもしれないが、あえて雪が降り積もる森でオーディオブックを聴きかえしたくなったファンタジーだ。
私はキンドルとオーディオブックの両方を購入したが、紙媒体とオーディオブックの組み合わせにすればよかったと少々後悔している。