ロシアの民話をもとにした壮大なファンタジー三部作の完結編 The Winter of the Witch

作者:Katherine Arden
ハードカバー: 384 pages
Publisher: Del Rey
ISBN-10: 1101885998
ISBN-13: 978-1101885994
適正年齢:PG15+
難易度:上級
ジャンル:ファンタジー
キーワード:Winternight三部作、The Bear and the Nightingale, The Girl in the Tower,ロシア、民話

伝統的なファンタジーのファンを虜にしたWinternight三部作が完結したのは、嬉しくもあり、寂しくもあった。「シュレーディンガーの猫」のように、完結編を読む前は、主人公のVasyaや彼女が大切にする人びとの運命はいかようでもあったわけだが、完結編を読んでしまったら、運命はもう決まってしまう。私もそうだが、Katherine Ardenが作り上げたWinternightの世界と登場人物たちを愛する読者にとっては悩ましいことだったにちがいない。読み始めるのが少し怖かったのも事実だ。

でも、読んでほっとした。悲しいところも切ないところも数々あったけれど、非常に充実した読み応えだった。Vasyaは自分を魔女として敵視する人びとや王国を救い、同時に自分が愛する死の神のMorozkoも救おうとする。YAファンタジーにつきもののロマンスのように、容易な解決策はない。そして、そこがこの三部作の良いところだった。

誰からも理解されずに、世界を救う責任を背負うVasyaは、強さと脆弱さが混じるファンタジーの理想的なヒロインだった。

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この冬はじめての大雪がふったマサチューセッツの森を歩きながら、VasyaとMorozkoに思いを馳せた

冬のさなかに読むと凍えそうになるかもしれないが、あえて雪が降り積もる森でオーディオブックを聴きかえしたくなったファンタジーだ。

私はキンドルとオーディオブックの両方を購入したが、紙媒体とオーディオブックの組み合わせにすればよかったと少々後悔している。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 多くの職を体験し、東京で外資系医療用装具会社勤務後、香港を経て1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 100 reviewer.

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