マヤ神話の神と18歳の少女の風変わりなロードトリップ的ファンタジー God of Jade and Shadow

作者:Silvia Moreno-Garcia
Hardcover: 352 pages
Publisher: Del Rey
ISBN-10: 0525620753
ISBN-13: 978-0525620754
適正年齢:PG12(一般向けファンタジーだが中学生からOK)
難易度:中級+
ジャンル:ファンタジー
キーワード:ジャズエイジ、1920年代、メキシコ、ユカタン半島、マヤ神話、強いヒロイン
2019年 これを読まずして年は越せないで賞 候補

時は1920年代のジャズ・エイジのまっただなかだったが、メキシコのユカタン半島に住むカシオペアにはまったく無関係のことだった。というのも、カシオペアの母の一族は(スペイン系と思われる)白人の家系であることを誇りにしており、先住民族の父が亡くなった後に移り住んだ母方の祖父の家では、地元の有力者である祖父を筆頭に家族全員がカシオペアを召使い扱いしていたからだ。

残酷な従兄から死後には(少ないながらも)遺産を遺すという祖父の約束が嘘だということを聞いて憤ったカシオペアは、意図せずに祖父が50年以上閉じ込めていたマヤの死の神フン・カメを解放してしまう。それだけならまだしも、カシオペアは、フン・カメの身体にまだ欠けている目や耳を探し出す旅に同行せざるを得なくなる。でないと、フン・カメは元の力強い神に戻ることができずに人間になり、神の骨の欠片が手に入り込んでしまったカシオペアはいずれ死ぬことになる。

横柄で、気分がコロコロ変わるマヤの神だが、祖父から体罰を受け、家族の誰からも親切にしてもらったことのないカシオペアにとっては、さほど辛いものではない。かえって、これまで会った者の中では一番親切なくらいだ。もともとカシオペアは頑固で単刀直入なので、相手が神であっても、自分の意見をズケズケ言う。

マヤの神がかつて支配していたユカタン半島から、メキシコ・シティ、そしてカリフォルニアへと2人はフン・カメが神に戻るための旅と冒険を続ける。けれども、その先々で、フン・カメから権力の座を奪った弟のヴクブ・カメが妨害する。そして、最終的に、長年にわたってカシオペアをいじめてきた従兄とカシオペアが、それぞれの神の「チャンピオン」として闘い、勝敗を決めることになる…..。

主人公のキャラに好感が抱けるし、読みやすいが、全般的には凡庸なファンタジーだと思っていた。結末もたぶん予想どおりになるだろうとたかをくくっていたのだが、このエンディングは予想していなかった。

ちょっとネタバレになるので、それが嫌な人は下記をとばしていただきたい)

せっかく良いキャラなのに、最後に「あなた誰?」みたいな変貌をしてしまう女性主人公がよくあるが、このファンタジーにかぎってはそれはない。田舎で家族からこき使われてきた18歳の知的な少女が、「異なる人生を生きたい」という希望をちゃんと叶え、恋したり、傷ついたりしても、そこからなにかを得て成長し、ちゃんと生きていくというところが最高だ。

カシオペアにすごく共感したのは、若かりし頃の私とかなり似ているからだと後で気づいた。

頑固で、口ごたえも多いが、相手がどんなに嫌いであっても、復讐にはまったく興味がない。ただ、関わりになりたくないだけだ。小さな世界を飛び出して、いろんな体験をしたいと願うところもよく似ている。だから、私にとって最も納得できるエンディングだった。

ネタバレ終わり

脇役の悪魔キャラもとてもいい。続きを勝手に想像して楽しめるファンタジーでもある。

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