「少女が行方不明になるのは日常茶飯事だ」 現実の残酷さを突きつける2019年エドガー賞受賞のYAミステリ Sadie

作者:Courtney Summers
ハードカバー: 311ページ
出版社: Wednesday Books
ISBN-10: 1250105714
ISBN-13: 978-1250105714
発売日: 2018/9/4
適正年齢:PG15(ジャンルはYAで高校生向けだが、内容は一般読者向けに近い)
難易度:上級(文章は特に難しくはないが、背景を理解するためには、社会問題やニュアンスを理解できる英語力が必要)
ジャンル:YA(ヤングアダルト)/ミステリ
キーワード/テーマ:少女の失跡、殺人、性虐待、復讐
文学賞:2019年エドガー賞受賞(YA部門)、Odyssey Award受賞、Audie Award(オーディオブックの賞)受賞、その他多くの賞の候補
2018これ読まメンション、2019これを読まずして年を越せないで賞候補作

アメリカの片田舎で、殺されて焼かれた13歳の少女マティが見つかり、19歳の姉サディは行方不明になった。だが、親に見捨てられていた貧しい2人の少女のことは、じきに忘れられてしまった。

サディが姿を消してから1年ほど経ったとき、少女たちを孫のように気遣っていた女性が犯罪ポッドキャストの男性レポーターに捜査を依頼した。レポーターのウエストは、サディの足跡を追っていく。

この小説には2つのストーリーがある。

ひとつは最愛の妹を殺されたサディの復讐の旅で、もうひとつはポッドキャストでのレポートだ。

サディのことをまったく知らなかったウエストは、サディが出会った人々を取材しながら、少女の人生や旅の目的に思いを馳せる。彼女を救ってやりたいという気持ちが高まるが、ウエストも、ポッドキャストを聞いている人も、そして読者も、そこに来るのが1年遅すぎたという後悔や焦りを覚えるだけだ。

最後まで読んだ人は、「これが高校生向けの小説なのか!」と驚くことだろう。それほど、生々しく、残酷な内容だ。

だが、この小説での印象的なフレーズ「Girls go missing all the time(少女が行方不明になるのは日常茶飯事だ)」というように、それがアメリカの現実なのだ。

それだけでなく、性虐待の犠牲になる少女のことなど、ほとんど誰も気にしていない。

マディもサディも、現実に存在する名もなき多くの少女のひとりである。それを描いたからこそ、小説Sadieはこれだけ絶賛されたのだろう。

P.S.
私は2018年のBookExpo AmericaでARCをいただいたのだが、これはオーディオブックもいい。ポッドキャストがあるしい、まるでドラマを観ているような感覚になる。

昨年のこれ読までメンションしたが、今年は候補に入れることにした。

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