アイルランドの孤島でのウエディングで起こった殺人事件。アガサ・クリスティ的なページターナー The Guest List

作者:Lucy Foley (ほかに The Hunting Party など)
ハードカバー: 384ページ
出版社: HarperCollins
ISBN-10: 0008297169
ISBN-13: 978-0008297169
発売日: 2020/2/20(英国)、アメリカでは6月
適正年齢:PG15
難易度:上級(7/10)
ジャンル:心理スリラー/ミステリ
キーワード:アイルランド、孤島、結婚式、パーティ、殺人
文芸賞など:リース・ウィザースプーンのブッククラブ6月選書、CWAゴールドダガー賞ロングリストなど

アイルランドの孤島のリゾートで結婚式パーティの準備が進んでいた。新郎はテレビのリアリティ番組の新進スター、新婦はライフスタイル誌のオーナー。船でしか来ることができない不便な場所だが、それだからこそロンドンの裕福な人々にとっては他人に自慢できる豪華イベントができるのが魅力だった。ソーシャルメディアの有名人でもある新婦は、自社のマガジンとソーシャルメディアでPRすることを交換条件に破格の値段でウエディングをする約束を取り交わしていた。

島にある大きな屋敷には、新郎新婦、新郎新婦のウエディング・パーティ(メイド・オブ・オナーやベストマンなどの関係者)、といった親しい人たちだけが式の数日前から宿泊していた。島にはほかに宿泊施設がないので、ほかのゲストは当日に船で来ることになっていた。

新郎のベストマンは寄宿制私立高校の時からの親友だが、2人の間には緊張感が漂っていた。新婦は通常なら親友の女性か姉妹のひとりをメイド・オブ・オナーにするものだが、代わりに男性の親友をベストマンにしていた。ベストマンの妻は、自分をほうったらかしにして新婦とばかり過ごす夫に不満や疑いを抱く。そして、新婦の妹は大きな秘密に押しつぶされそうになっている。。

結婚式の当日、嵐が到来し、停電が起こる。そして、ある者が殺される……。

雰囲気たっぷりのロケーションに秘密を抱える人々が集まり、ひとりが死体になる。ソーシャルメディアがある現代のストーリだが、このあたりが、とてもアガサ・クリスティ的なミステリだ。結婚式のパーティ当日と、その前に起こったことなどが交互に語られ、緊張がじわじわと高まっていくところもいい。

「気晴らしになる本を読みたい」という夫のリクエストに応えて薦めたところ、非常に好評だった。映画のシーンが目に浮かんでくるようなページターナーであり、リース・ウィザースプーンがブッククラブに選んだのが理解できる。きっと、彼女のプロダクションでドラマ化されることだろう。それも楽しみだ。

1 thought on “アイルランドの孤島でのウエディングで起こった殺人事件。アガサ・クリスティ的なページターナー The Guest List”

  1. 寄宿制私立学校での陰惨ないじめやスキャンダル隠蔽、エリートの高慢な言動などはイギリスの物語によく登場しますが、読んでいて辛いし、怒りが込み上げてくるので、私は大の苦手です。それに加えて、読後感が非常に悪い嫌ミス(これも苦手)だったので、感想は「う~ん・・・」。でも、構成はうまくて、どんどん読めたので、余分に星一つ追加しておきました(笑)。確かに映像化すると良さそうですね。

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