作者:Silvia Moreno-Garcia (Gods of Jade and Shadowの作者)
Hardcover: 320 pages
Publisher: Del Rey
Language: English
ISBN-10: 0525620788
ISBN-13: 978-0525620785
発売日:2020年6月30日
適正年齢:PG15+
難易度:上級 8/10
ジャンル:ファンタジー/ホラー
キーワード:ゴシックロマン、怪奇現象、幽霊、呪われた家族、メキシコ
1950年のメキシコシティ。裕福な一家の22歳の娘ノエミは、結婚適齢期だというのに着飾ってパーティを楽しむ生活を送っている。大学で文化人類学を学びたいと思っているが、親は乗り気ではない。そんな生活にやや退屈していたとき、結婚してHigh Placeという遠く離れた地方に住んでいる従姉のカタリーナから奇妙な手紙が届いた。娘のように扱ってきた姪のことが心配だが、同時にスキャンダルを恐れるノエミの父親は、娘に交換条件を出した。High Placeに行って従姉の様子を確認してくれば、大学に行くことを許すというのだ。
気が強いノエミは、ひとりでHigh Placeに向かった。従姉が結婚したヴァージルと彼の一家が住む家は、彼女が子どもの頃から憧れていたおとぎ話のような館だった。しかし、館の様子からは、一家が経済的に困窮しているのは明らかだった。
ヴァージルの先祖はイギリスからの移民であり、百年以上前にここで銀の鉱山を所有し、現地の者を雇って発掘させていた。だが、鉱山で働いた者がほとんど病死したという歴史もあり、現在は鉱山が閉じていた。彼らは気位が高いだけでなく、ノエミに対して敵意をむき出しにする。そして、従姉のカタリーナが結核にかかっていると主張して、ノエミと二人きりで合わせようとしない。
それでも頑固に居座ることにしたノエミだが、奇妙な出来事が次々に起こり、カタリーナと一緒に逃亡することも難しくなってくる……。
ノエミが館に到着したときの雰囲気は、有名なゴシックロマンの『Rebecca』のようだ。だが、そのうちに、これはある種のファンタジーなのだとわかってくる。Gods of Jade and Shadowの作者なので、そのようなファンタジーなのかと少し期待したのだが、そうでもない。これは、ホラー小説なのである。
館と家族の関係はなかなか興味深いし、男性の登場人物たちは「おぞましさ度」たっぷりである。だが、その他の登場人物がいまひとつだと思った。また、ラストの盛り上がりやホラーの描写で物足りなさを感じる読者はいるかもしれない。
ページターナーではあるので、ゴシックものが好きな読者には「夏のホラー」としておすすめ。
メキシコが舞台の怖い話って感情移入出来るかな、と心配しながら読み始めましたが、世界観がしっかりしていて、最後までドキドキ楽しく読みました♪