作者:Karen M. McManus
ハードカバー:384ページ
Publisher : Delacorte Press
ISBN-10 : 0525707964
ISBN-13 : 978-0525707967
発売日:January 7, 2020
Lexile指数: HL740L
適正年令:高校生向け
難易度:6/10
ジャンル:YAミステリ
キーワード/テーマ:学園ミステリ、青春小説、ソーシャルメディア、虐め、噂、ロマンス、性暴力、復讐、殺人
アメリカの典型的な高校であるBayviewでは、生徒が隠している秘密を暴く人気のゴシップアプリがあった。そのアプリを創作して一部の学生から憎まれていたSimon(サイモン)がアレルギーで突然死した。彼を殺す機会があった 4人の同級生に殺人の疑いがかかったが、誰なのかわからない。この中の誰かが嘘をついているに違いない。疑惑をかけられた4人が異なる視点で語ったのが、McManusの前作One of Us is Lyingだった(このブログにレビューを書いていると思いこんでいたので、ちょっとショック)。高校生対象のデビュー作品でありながら大人の読者も獲得し、130週間以上ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラーリストに入った。
その題作と同じ高校を舞台にしているので「続編」として扱われているが、内容は「読み切り」。
サイモンが死んでからも、ベイビュー高校では似たようなゴシップアプリを作る者が途絶えなかった。でも、根拠がない噂程度であり、サイモンのように人が隠しておきたい真相を嗅ぎつける才能を持つ者は現れていなかった。
ところが、突然サイモンの生まれ変わりのような者が現れた。今回はゴシップアプリではない。アメリカの若者がパーティでよくやるTruth or Dareというゲームだ。ターゲットになった者に「Truth(真実)を告白するか、 あるいは、Dare(嫌なこと、怖いことをあえて行う)」を選ばせるというもので、酒がはいったパーティであることが多い。少人数の閉じた空間で行われる時ですら深い精神的な傷を残したり、人間関係を壊したりすることで知られる危険なゲームなのだが、それを高校生全員が読めるソーシャルメディアという公共の場で行うのである。
ターゲットになった者が無視をしたら、匿名のゲーム主催者はその生徒が隠している秘密「Truth」を公の場で暴露すると脅す。だが、DareのほうもTruthと同様にターゲットの学校生活を破壊する内容だ。最初にターゲットになって脅しを無視したPhoebe(フィービー)は、誰も知らなかったはずの秘密を暴露されて姉と仲違いする。そこで他の者はDareのほうを選ぶようになるが、姉がサイモン殺害の疑いをかけられたMaeve(メイヴ)は、脅しに負けたくなくてフィービーのように無視をした。だが、匿名のゲーム主催者が暴いた秘密が傷つけたのは、親友だったMaeveとKnoxの信頼関係だった。
そのゲームのさなかに、高校生が死んだ。しかも、ゲームのターゲットになった者となんらかの関係がある者だった……。
高校生にありがちな、学校での噂やいじめの心理、友情の危うさなどを描いているだけでなく、それがプロットにうまく組み込まれている。いろいろな驚きが用意されていて、最後までまったく飽きない。2017年から2020年末までに刊行した4冊の学園ミステリのすべてがベストセラーになっているが、これだけ多作なのに、全部異なる面白さがある。ともかく読んでいて面白いので、社会の暗い状況を忘れてミステリを楽しみたい人におススメ。
今まで読んだミステリーは、大抵主人公がナレーターで過去形で書かれていたように思います。過去形で書かれていると、なるほど、これを過去形で書いていると言うことは、少なくともこの主人公は最後まで生き延びて、当時を思い返してこれを書いている、と言う設定と言うことでしょう、と少しネタバレ感があったように思います。今回読んだone of us is lying は、主人公たによる現在形のナレーションだったので、読書自分も、起こっている出来事を同時に、その場で目撃している臨場感が最後まで続きました。SNSで様変わりした高校生活には驚きでした。