作者:Freya Sampson
出版社 : Berkley
発売日 : 2021/8/31
ハードカバー : 336ページ
ISBN-10 : 059320137X
ISBN-13 : 978-0593201374
適正年齢:一般(中学生以上)
読みやすさ:6
ジャンル:大衆小説(人情ドラマ)
キーワード、テーマ:心温まる本、ほのかなロマンス、イギリス、図書館、閉館の危機、プロテスト、人々の繋がり
シングルマザーだった母の看病をするために大学への進学を諦めたJuneは、かつて勤務していた地方の図書館でアシスタントとして働いている。極端にシャイなJuneは、母が亡くなってからは図書館で働く以外は家でひとりで本を読んでいる。30歳になってもそんな暮らしに満足していたJuneだが、図書館が閉鎖される予定になっていることを知り心を乱される。
図書館の常連たちが一丸になって反対運動を計画し、Juneにも加わるように誘う。けれども、上司からは反対運動に加わったら職を失うと脅されて何もできない。自分のプライベートなことを仕事としてJuneに押し付ける上司は、図書館を救うことなどには興味がないようだ。それだけでなく、彼女の夫が図書館閉鎖のビジネスに加わっているようなのだ。Juneは匿名で反対運動を手伝うことにする……。
前回に紹介したThe Reading Listもそうだが、これもイギリスが舞台であり、予算削減による図書館閉鎖をテーマにしている。世界中の図書館が予算不足の問題を抱えていると思うのだが、似たような本が同時に発売されているのを見ると、イギリスはさらに深刻な状況なのかもしれない。
この本や、The Reading Listよりも軽めで、いろいろなキャラクターが繰り広げるドタバタ劇、あるいは優しい中国系イギリス人弁護士のヒーローが出てくるほのかなロムコム(ロマンスコメディ)でもある。図書館での職業や図書館の存続に関しては、The Reading Listより現実に即していると感じた。
じ〜んとする本を探している人はThe Reading List、軽く読みたい人は本書をおすすめ。
ほんわかとした温かみのあふれるストーリーでした。作家が本、本屋、図書館を題材につくる物語は、本や物語に対する愛着がにじみ出るのが読んでて分かる気がします。
Isaoさん、
楽しんでいただけて良かったです。
時々はこうして心温まる本を選ぶようにしています。