ソーシャルスキルがゼロでイジメられても明るく実直に生きるヒロインが魅力のコージー・ミステリ The Maid

作者:Nita Prose
Publisher ‏ : ‎ Ballantine Books
刊行日:January 4, 2022
Hardcover ‏ : ‎ 304 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 0593356152
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0593356159
適正年齢:一般(PG15)
読みやすさ:6
ジャンル:コージー・ミステリ
キーワード、テーマ:ホテルの掃除係(メイド)、ソーシャルスキル、自閉症スペクトラム
心あたたまる本

25才のMollyは人の表情や言葉のニュアンスを読み取ることができない(この小説では明記されていないが、自閉症スペクトラムと想像できる)。頭は良いのに、「普通」の言動を取らないので誤解されたり、馬鹿にされたり、イジメられたりする。親代わりに育ててくれたGran(おばあちゃん)が教えてくれるシンプルなルールに従って実直に生きてきた。Granのツテで見つけてもらったホテルの清掃係(メイド)の仕事は、きれい好きで礼儀正しいMollyが誇りにしているものだ。すべて順調にいっていたのに、Granが死んでからMollyには次々と災難がふりかかる。

心根が良いMollyは「bad eggs(性根が悪い人間)」をつい信頼してしまう。初めてできたボーイフレンドは、GranとMollyが一生懸命働いて貯めたお金を全部盗んでしまう。そして、次に信頼した者がMollyをとても困った状況に追い込む。

リッチで悪名高いMr.Blackが泊まっているスイートを掃除するために入室したMollyはBlackの死体を見つけた。「普通」の行動をしないために警察から疑いをかけられたMollyは、これまで想像もしなかった良い友人を作り、それらの友人の援助で真犯人を探り出す…。

謎解きは複雑ではないので読み慣れている読者はすぐに推察できるが、このコージー・ミステリの魅力はそれよりもキャラクターだ。想像力がない「普通」の人たち(凡人)が馬鹿にしているけれど、実はとても賢くて、しかも徹底的に礼儀正しいMolly。そして、そのMollyを助ける心優しい友人たちとのやりとりにほっこりする。

読み切りだが、とても人気があるのでシリーズになりそうな気配。

2 thoughts on “ソーシャルスキルがゼロでイジメられても明るく実直に生きるヒロインが魅力のコージー・ミステリ The Maid”

  1. Tetsuya Abe (阿部哲也)

    渡辺さん、こんにちは。いつも書評を楽しみに読ませていただき、本を買うときの参考にさせていただいています。
    トロントに3年半住んでいるので、トロントが舞台となっていると思われるこの本、興味深く読みました。小説のような展開だと思いましたが、周りの人の温かさに、ホッとしました。カナダには、こういう温かい人、結構いると思います。10年ほどまえにハワイに3年間住んでいただけなので、おおざっぱに比較するのは良くないとは思いますが、カナダの人はアメリカの人と比べて、自己肯定感が少ない代わりに、優しい感じを受けます。

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