作者：Lucy Foley (The Guest Listの作者）
Publisher : William Morrow
刊行日：February 22, 2022
Hardcover : 368 pages
ISBN-10 : 0063003058
ISBN-13 : 978-0063003057
対象年齢：一般（PG15)
読みやすさ：７
ジャンル：ミステリ、スリラー
キーワード、テーマ：密室殺人、信頼できる者がいない環境
Jessはこれまでの人生から逃げて新たにやり直しをするためにパリに逃げてきた。貯金も頼れる親もいないJessにとって最後の手段は異父兄のBenに助けを求めることだった。里親制度で過酷な子供時代を送ったJessとは異なり、Benは裕福な夫婦に引き取られて名門大学で人脈も作っていた。誰とも親しくなる才能を持つBenはパリの高級アパートメントを安く借りており、Jessはそこにしばらく居候をさせてもらうことになっていた。だが、アパートメントに着いてみたらBenはいないし、同じ建物の住人たちは助けを求めるJessを徹底的に無視する。
違法に近い手段でBenの部屋に入り込んだJessは、兄が何らかの犯罪に巻き込まれたことを疑う。アパートメントに住んでいる裕福な壮年の夫婦、妻に対して暴力を振るう若いアルコール依存症の男、箱入り娘でナイーブな資産家の娘と社交家のルームメイトらは、いずれも何か知っているようだが秘密にしている。管理人の女性は明らかに彼女に敵意を抱いているようであり、親切にしてくれるのはBenにアパートメントを紹介した大学時代の友人だけだ。危険だと知りつつも、JessはBenが姿を消した原因を突き止めようとする…。
（イギリス人読者にとっては）「エキゾチックな異国」での「密室で起こった事件」であり、「登場人物全員が秘密を持ち、動機もある」というアガサ・クリスティのクラシックなスタイルを受け継ぐタイプのミステリ。登場人物すべてがまったく好感を抱けないところが苦手な読者もいるだろう。だが、「誰が、なぜ、どのようにして犯罪を犯したのか？」という謎を考えるのが好きな人にとっては十分楽しめるミステリだ。古い屋敷が好きな読者にもおすすめ。