作者:Andie Powers(文), Betsy Petersen (イラスト)
Publisher : Bala Kids
刊行日:April 12, 2022
Hardcover : 32 pages
ISBN-10 : 1611809843
ISBN-13 : 978-1611809848
対象年齢:3 – 7歳
読みやすさレベル:2
ジャンル:児童書/絵本(ネイティブの小学校1年生レベル)
キーワード:物静かな子供の内面
大声を出して走り回ったり、欲しいものを欲しいとはっきり主張したりする子供たちに混じって、静かにしている子供がたまにいる。
大人たちはそういう子を(特に自己主張が重要なアメリカの場合には)「Shy(恥ずかしがり、引っ込み思案)」と決めつける。そして、「そんなにshyにならず、もっと皆と仲良くして遊びなさい」と”励ます”。
でも、その子は本当は「shy」ではなく、ただ静かに考えるのが好きなだけかもしれない。頭の中では、壮大なスケールの冒険が繰り広げられているのだ。
この絵本は、そういう子供とその子の内面を描いたものである。
この絵本に惹かれたのは、私がまさにそういう子供だったからかもしれない。学校から家まで歩いて自然を観察するところもそっくりだ。
(母によると)4歳から「少年少女世界の名作文学」を読み始めた私は、幼稚園のクラスの途中にその世界で冒険していることを考えていた。だから、静かで、引っ込みがちだと思われていて、いじめの対象にもなった。先生も救ってくれなかったのので、今でもいじめっ子の名前を覚えているくらいトラウマである。
黙っているといい加減なことを言われ、濡れ衣を着せられると思い知ったのが、小学校2年生の時だ。口が達者な男子に後ろから突かれ続けたので「やめて」と言ったら、先生に「そこの2人、前に出てきなさい」と呼び出され、授業中に喋っている理由を説明しろと言われた。その男子は口が達者なので好き勝手なことを言い、先生もそれを信じているようなので、ついにキレてしまった私は、先生の机の上にあった分厚い本を持ち上げて、その男子の頭に振り下ろしたのである。そして、私のほうが先に泣き出した。
この時のショックで頭の中の世界と外の世界が繋がったのか、私は自分の考えていることを口に出すようになり、クラスの委員長になるほど活発になった。
でも、本質的には、今でもこの絵本の主人公だ。
ちょうどソーシャルメディアによる恐ろしい弊害を解説する『The Chaos Machine』というノンフィクションを読み終えたこともあって、子供が「外には出さないけれども豊かな内面がある」ということを周囲が理解するのは大切だと感じた。それを理解してもらえない孤独さが、ネットでのダークな繋がりを求める衝動にも繋がると思うから。
誰にでもオススメの絵本ではないが、無口な子がいたら「これはあなたかもね」という感じで一緒に読んでみるといいかもしれない。