作者:Holly Jackson
Publisher : Delacorte Press
刊行日:November 29, 2022
Hardcover : 400 pages
ISBN-10 : 0593374169
ISBN-13 : 978-0593374160
Reading age : 14 – 17 years
Lexile measure : HL670L
対象年齢:高校生(PG 14)
読みやすさレベル:6
ジャンル:YAスリラー/サスペンス
テーマ、キーワード:人質、サバイバル、秘密、裏切り
6人の友人が集まり、全長10メートルの大型RV(キャンピングカー)を運転して温かい海辺で春休みのバケーションをすることになった。18歳の少女Redは、警察官の母が殉死した後に父親が鬱状態になり、その結果として貧困生活になっていた。それを知る親友のMaddyがお金を使わずにできるバケーションを提案したのだった。Maddyとその兄のOliverの母親は検察官で、Redの母親とは子供たちが生まれる前からの親友だった。そんな事情もあって3人はきょうだいのように育ったのだった。この旅行には、この3人のほかに、OliverのガールフレンドのReyna、昔からの友人のSimon、Redがほのかに恋心を抱くArthurが加わっていた。
海辺のキャンプ場は見つけにくい場所にあり、スマホも繋がらなくなって、6人は迷ってしまう。行き止まりの道に入り込んで引き返そうとした時、何者かがスナイパーライフルでタイヤをすべてパンクさせてしまった。見えない敵は、無線機で彼らに要求を伝えた。6人のうちひとりが隠している秘密を知りたい。それさえ教えてもらえば、あと5人は生存させてやるというものだった。
6人はそれぞれに他人に隠している秘密があった。だが、敵が知りたい秘密が誰のものなのかはわからない。6人の中に敵と通じている者がいるかもしれない。6人は互いを疑うようになる…。
Holly Jacksonの『A Good Girl’s Guide to Murder』三部作は、『新・ジャンル別洋書ベスト500プラス』のYAジャンルではわざと「読み切り」の場所でご紹介した。その時にプラス情報として「3巻のAs Good As Dead は読むとがっかりするかもしれない」と書いたのは、最初の本の時と最終巻では登場人物の人格や作品の雰囲気がまったく異なってしまっていたからだった。そのために、三部作の最後に収集がつかなくなって崩壊したような印象があった。
その次に出た作品が本作Five Surviveなので、読む前は少々不安だった。しかし、良い意味で期待を裏切ってくれる作品だった。
この本は、A Good Girl三部作の最終巻の雰囲気に近く、ダークでバイオレンスもある。しかも、ウィリアム・ゴールディングの『蝿の王』的な雰囲気もあるし、心温まるところはない。だが、迷いなく、堂々とダークさを出しているところが三部作とは異なる。作者が「これが私のアイデンティティ」と決めて開き直ったような潔さを感じて、すんなりとスリルを楽しむことができた。
最初の『A Good Girl’s Guide to Murder』が好きで、それを期待する読者は避けたほうがいいかもしれないが、ハラハラどきどきの連続で(私はじつは苦手なのだが)Bloodyなものが好みの方にはオススメ。