「僕って賢くてユーモアのセンスあるでしょ?」という作者のトーンが鼻についてしまった話題のミステリ Everyone in My Family Has Killed Someone

作者:Benjamin Stevenson
Publisher ‏ : ‎ Mariner Books
刊行日:January 17, 2023
Hardcover ‏ : ‎ 384 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 0063279029
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0063279025
対象年齢:一般(PG15)
読みやすさレベル:6(シンプルで理解しやすい文章)
ジャンル:ミステリ
テーマ、キーワード:Who Dunnit, ダークユーモア、家族関係

悪名高きCunningham一家が、仕切り屋の叔母の手配によりスキーリゾートで「ファミリーリユニオン」(家族の集まり)をすることになった。集まったのは、主人公Ernest, Ernestの妻、兄、兄の妻、母と母の再婚相手、叔母と叔母の夫、主人公とはきょうだいのような仲である再婚相手の娘である。そこで男の死体が見つかり、直後に(もちろん)雪嵐がやってきてリゾートは隔離されてしまう。

隔離され、停電したリゾートで、家族のメンバーは疑心暗鬼になる。なぜなら、全員が大きな秘密を持っており、全員が人を殺したことがあるからだ…。

「Everyone in my family has killed someone. Some of us, the high achievers, have killed more than once.」で始まるこのミステリは、設定が面白そうなのでとても期待していた。なにせ「家族全員が人を殺したことがある」というものなのだから。でも、読み進めるうちに「私には合わない」と感じてきた。

その理由はいくつかあるのだが、文章からにじみ出てくる「僕って賢くてユーモアのセンスがあるでしょう?」というトーンが鼻についてしまったのだ。作者はオーストラリア人のスタンドアップ・コメディアンであり作家でもある。彼のコメディアンとしての語り口が好きな読者もきっといるだろうが、私には徹底的に合わなかった。登場人物たちにもバラエティはあるのだが、いずれもリアルな人間というよりも、カリカチュアにしか感じられない。ミステリのWhyとHowのどちらも理屈にあわないのでイライラした。これが舞台劇だったら楽しめたと思うのだが、小説としてはover acting(演技しすぎ)に感じてしまった。

というわけで、私の個人的な評価は低いが、このシリーズはHBOでTVドラマになることが決まっているようなので、好きな人はきっといるだろうと思う。英語はシンプルなので、興味がある人はお試しあれ。

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