メキシコ独立戦争後の大農園の主に嫁いだ若い妻が遭遇する怪奇現象とロマンス The Hacienda

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作者:Isabel Cañas
Publisher ‏ : ‎ Berkley (September 26, 2023)
Paperback ‏ : ‎ 384 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 0593436709
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0593436707
対象年齢:一般(PG15)
読みやすさレベル:7
ジャンル:ゴシック・スリラー、ホラー
テーマ、キーワード:ゴシック・ロマン、歴史小説、幽霊屋敷、メキシコ独立戦争、家族ドラマ

19世紀初頭の独立戦争の傷跡が残るメキシコが舞台。著名な父親が謀反罪で処刑されて地位と未来を奪われたBeatrizは、権力者であるDon Rodolfo Solórzanoからのプロポーズを受け入れた。Rodolfoの前妻は謎めいた状況で死去したという噂があったが、結婚したらRodolfoが所有するカントリーサイドの屋敷に住むことができる。生き延びる能力がない母に住居を与えるためには理想的な結婚だった。しかし、その屋敷はBeatrizが想像したような静かで安全な場所ではなかった。

所有者の妻が屋敷を取り仕切るのが常識だったが、到着してみると、その存在すら知らなかったRodolfoの姉Juanaが支配していた。そのうえ屋敷では常に誰かに見られている感覚がつきまとい、リアリスティックな悪夢に襲われるようにもなった。不気味なだけでなく、身の危険を感じる超常現象が続き、Beatrizは教会の神父に助けを求めようとする。しかし、教会の責任者である神父は夫の影響下にあり、Beatrizは誰も信じることができない。唯一彼女に救いの手を差し伸べたのは若い見習い神父の Padre Andrésだった。教会から禁じられているパワーを使うことは、2人のどちらにとっても危険なことだった…。

ゴシックミステリの古典として有名なRebecca(『新ジャンル別 洋書ベスト500プラス』収録)と、Silvia Moreno-GarciaのMexican Gothicをミックスしたような作品という説明どおり、その2作を連想させる。

haciendaとはスペイン語で「大農園」あるいは「大規模な個人所有地」を意味する。大きな農場に囲まれた大邸宅で起こる超常現象の数々と禁じられているマジックの部分はホラー、あるいはファンタジーのジャンルだが、前妻の死の謎を追っていく部分は心理スリラーである。少々メロドラマティックなロマンスが含まれているが、それも上記の2作のファンが納得できる範囲である。

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