作者:Alix E. Harrow
Publisher : Tor Books (October 3, 2023)
Language : English
Hardcover : 320 pages
ISBN-10 : 1250799058
ISBN-13 : 978-1250799050
対象年齢:一般(PG15)
読みやすさレベル:7~8
ジャンル:ファンタジー、ホラー、ゴシック・スリラー、ロマンス
シングルマザーの母を失ったOpalは高校を中退してレジ係のアルバイトで食いつないでいる。住民の誰もが顔見知りで窒息しそうな閉塞感があるケンタッキー州のEdenから自分自身は逃れられないが、才能がある弟だけは遠くの学校に入学させてEdenを脱出させようと決意している。
Opalが町を離れられない理由は経済的なものと、この町にあるStarling Houseという屋敷だ。19世紀にThe Underlandというダークな児童書を書いた作家E. Starlingは100年以上前に姿を消し、それ以来多くの者が屋敷の管理人として住み着いてきた。しかし、彼らは必ず不幸な死を迎えた。
夢にしばしばこの屋敷が現れるOpalは屋敷に魅了されていたが、現在の所有者のArthurは「世捨て人」のように外界との接触を断っており、屋敷は厳重に守られている。誰も足を踏み入れることができない屋敷についての悪い噂は絶えない。Arthurから屋敷の掃除婦の仕事をオファーされたOpalは、思いがけないチャンスに飛びつく。しかも、その給料で遠くの私立学校に弟を入学させることができる。すべてが上手くいくようだったが、町の悪名高い富豪が雇ったコンサルティング会社が関わるようになり、すべては危機状態になる。
Starling Houseが抱える危険な秘密とその危険から他者を守る管理者としての責務に疲れ果てていたArthurは、大胆なOpalに惹かれて仕事を与えたが、危険が強まるにつれ、それを後悔しはじめていた…。
作者の作品The Once and Future WitchesとThe Ten Thousand Doors of Januaryはどちらも風変わりでマジカルな歴史ファンタジーだったが、今回のファンタジーはホラー的な要素が強い。これまでの2作はどちらも私の好みだったのだけれど、あちこちのメディアで取り上げられ、リース・ウィザースプーンのブッククラブの選書にもなっているこの作品はあまり好きにはなれなかった。
最大の理由は、主要人物の2人の容貌について作者が何度も「Ugly」と繰り返しているところ。私はYAファンタジーによくある「美男美女の組み合わせ(それを強調するもの)」が苦手で、主要人物がそうではない作品のほうが好きだ。本作品の主要登場人物のOpalは、自己チューで大胆で他人の目を気にしないところが通常の(好感度が高い)ヒロインと異なる。そこはかえって魅力なのだが、外見が魅力的でないことをメンションするのは1度で十分だと私は思うのだ。男性の主要人物であるArthurについても同じことが言える。Uglyという直接的な表現を繰り返すというのは、結局のところ作者が容貌を重要な要素にしているということで、そこにうんざりしてしまった。
とはいえ、あちこちで2023年の選書になっているので、ホラーが混じったファンタジーを探している読者は試してみてほしい。