YAミステリ作家としての長寿を予感するホリー・ジャクソンの新作 The Reappearance of Rachel Price

 

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作者:Holly Jackson
Publisher ‏ : ‎ Delacorte Press
刊行日:April 2, 2024
Hardcover ‏ : ‎ 448 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 0593374207
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0593374207
対象年齢:高校生、YA (PG 14)
読みやすさレベル:6
ジャンル:YAミステリ
キーワード、テーマ:母親の失踪、家族の秘密、アダルトチルドレン、犯罪ドキュメンタリー

18歳の女子高生Belの母親Rachel Priceは16年前の冬の日、自家用車に2歳のBelを残したままこつ然と姿を消した。Rachelが自分の意思で姿を消したのか、誰かに誘拐されたのか、殺害されたのか、何の手がかりもないまま年月が過ぎた。母親が行方不明になった直後に父親が殺人容疑で逮捕されて拘置されたが、数カ月後に無罪判決を受けて家に戻った。

愛する者に取り残される恐れがトラウマになっているBelは友人を寄せ付けず、孤独かつタフな少女に育っていた。Belが愛し、信頼ているのは父親と父方の家族だけだ。

この件について何も語ろうとしなかった父親なのに、有名なイギリス人のドキュメンタリー映像制作者の依頼でRachel Priceの失踪事件ドキュメンタリー制作に協力することになった。アルツハイマー症を発症した祖父のケアにかかる費用を調達するためだと父は言う。

Belはしぶしぶドキュメンタリー制作に協力していたが、その制作の最中に、誰もがすでに死んでいると信じていたRachelが姿を現した。16年間ある男によって拘束されていたが、そこから解放されて自力で戻ってきたのだという。だが、BelはRachelを信じない。その嘘を暴くために、Belはアシスタント役を務める映像制作者の甥の協力を得る。けれども、Belが暴き出した真実は、彼女が想像したようなものではなかった…。

A Good Girl’s Guide to Murder‘でセンセーショナルなデビューを果たしたHolly Jacksonだが、シリーズ三部作の最終巻があまりにも1部のイメージとは異なるダークな展開である種の”sophomore slump”(ベストセラーデビュー作の後にスランプに陥るジンクス)ではないかと思われた。だが、その後の作品で、彼女がきっぱりと方向転換をしたのを感じていた。

今回の作品でもダークさがあり、そのうえにかなりのツイストを入れている。Jacksonの初期の作品を期待した読者はがっかりするかもしれないが、同じような作品ばかりを書いているYAミステリ作家と比べて幅の広さを感じさせてくれる。JacksonがYAミステリ作家として多くの作品をこれからも長く書き続けてくれることを予感させる新作だった。

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