
作者:Curtis Sittenfeld
Publisher : Random House
刊行日:February 25, 2025
Hardcover : 320 pages
ISBN-10 : 0593446739
ISBN-13 : 978-0593446737
対象年齢:一般(PG15+)
読みやすさレベル:7
ジャンル:短編小説、文芸小説
テーマ、キーワード:過去の思い出、人間関係、人物造形、ユーモア
Curtis Sittenfeldは私にとって微妙な作家である。ストーリーテラーとしては卓越しているけれども、必ずと言って良いほどモヤモヤ感が残る。なかには星1つ評価をつけたほど嫌いな作品(Rodham)もある。それなのに、なぜか新刊が出ると読まずにはいられない。
先月末に刊行された新刊も、あまり期待せずに読んだところ意外なことにとても良かった。それは、たぶんこれが短編小説集だったからだ。
Sittenfeldの小説では、中心人物の女性に対する作者の意地悪な視点があちこちに露呈する。それがわざとなのか、あるいは作者自身が出てしまうのか、それが不明なために私はモヤモヤしてきたのだけれど、この本に含められている短編では、皮肉な視点が故意であることが明らかである。
中年になってから若い時の体験を振り返ると、自分のナイーブさだけでなく、自分が魅了されていた人々の欠陥がくっきりと浮かび上がってくる。当時には見えなかったことが見えてくるのだ。その悟りを得たとき、不安だったことや、苦痛だったことが、皮肉なユーモアに変わる。
Sittenfeldらしく、誰もが良く知っている有名人がフィクションとして登場するものもある。アマゾンの創始者ベゾスと妻が若夫婦だった頃のベビーシッターの逸話には、ついニヤリとしてしまった。少しでもベゾスの過去を知る人なら、説明がなくても彼らをベースにしていることがわかる。現在も存命の有名人をフィクション化するときには、長編よりもこの程度の短編のほうが効果的ではないか思った。
この本のすべての短編で人物たちが容赦なく分析される。それらの人物には過去の作者自身も含まれていて、小説家としての業の深さも感じる。作者を見直した1冊だった。

