
作者:Grady Hendrix
Publisher : Berkley
刊行日:January 14, 2025
Hardcover : 496 pages
ISBN-10 : 0593548981
ISBN-13 : 978-0593548981
対象年齢:一般(R)
読みやすさレベル:7
ジャンル:ホラー、ファンタジー
テーマ、キーワード:Wayward girls, 20世紀後半の米国における未婚のティーン妊婦を対象にした施設、魔女
20世紀後半のアメリカでは、未婚で妊娠したティーンの少女たちは「wayward girls(反抗的な、通常の行動規範を外れた女の子)」と呼ばれ、親たちがこっそりと送り込む施設が数多く存在した。少女たちは故郷から遠く離れたこの施設で妊娠期間を過ごし、生まれた赤ちゃんは子どもがいない夫婦などに引き取られる。出産を終えた少女たちは、過去を忘れてもとの生活に戻るように指導される。
1970年、15歳の少女Fernはフロリダ州にあるWellwood Homeに到着した。自分を妊娠させたボーイフレンドは親からの軽い叱責のみでその後は自由な生活を続け、Fernだけは親からも汚いものを見るように扱われ、友達も家族もいない場所に送り込まれた。
施設の規則は厳しかったが、Fernは自分と似たような境遇の少女たちと次第に仲間意識を持つようになった。ある少女は故郷に戻ったらボーイフレンドと結婚することを信じ、ある少女は赤ちゃんを絶対に引き渡さないと決意していた。けれども、14歳になったばかりの幼い雰囲気の少女は、妊娠させた相手のアイデンティティを打ち明けないだけでなく、口さえきかなかった。
施設では食べるもの、着るもの、話す内容、すべてが厳しく管理されていたが、Fernが出会った図書館員が渡してくれたwitchcraft(魔女の使う魔術)の本によって少女たちの生活は変わっていく。少女たちはこの本から学んだ魔術で虐待的な医師に報復し、いっときはパワーを満喫する。
けれども、すべてのものにはコストがある。Fernたちに魔力を貸し与えた魔女たちは、その支払いを求める。しかも、お金では買えない犠牲を伴う支払いだ…。
作者のGrady Hendrixはこれまでに刊行したHow to Sell a Haunted House、The Southern Book Club’s Guide to Slaying Vampires、The Final Girl Support Group のすべての作品がベストセラーになっているホラー作家である。ホラーが苦手な私ですら読めるマイルドなタイプなのでこれまで全作読んできたけれど、特に「素晴らしい!」と感じたことはない。
だが、今回の作品はホラーというよりもファンタジー色が強く、歴史小説の要素もある。これまでも「Gradyは男性作家なのに、なぜ主人公はいつも女性なのか?」と不思議に思っていたのだが、今回も中心人物はすべてティーンの少女である。でも今回は「男性作家なのに、よくこれだけ書けたものだ」と感心するほど妊婦の心境や出産の恐怖が描けていた。
たぶんGrady Hendrixのこれまでの最高作品。

