
作者:Claire Leslie Hall
Publisher : Simon & Schuster
刊行日:March 4, 2025
Hardcover : 320 pages
ISBN-10 : 166807818X
ISBN-13 : 978-1668078181
対象年齢:一般(R)
読みやすさレベル:7
ジャンル:文芸小説、ミステリー、ラブストーリー
テーマ、キーワード:殺人事件、田舎の人間関係、ゴシップ、初恋、不倫、家族愛、夫婦愛
1955年当時のイギリスでは、地方の中産階級、労働者階級の女子が大学に進学することは稀だった。16歳のBethは大学で文学を学び、創作する夢を抱いていたが、それを理解する者は周囲にはほとんどいなかった。Bethの夢を最も理解してくれたのは、この地方の上流階級の子息でオックスフォード大学に通っていたGabrielだった。一時的にこの地で過ごしていたGabrielも、自分と同じ夢を持つ理解者のBethに惹かれる。この初恋が永久のものだと信じていた二人だが、ある出来事が理由で別れ、二度と会うことがなかった。
それから10年以上経った1968年、Bethは心優しい夫のFrankと一緒に地元の農場を経営していた。お互いに愛しあっていたが、数年前の息子の事故死が2人の仲に亀裂を作っていた。
ある日、農場に犬が侵入して貴重な資産である羊を噛み殺し始めた。それを止めるためにFrankの弟は犬を撃ち殺したのだが、その犬の持ち主を見てBethはショックを受ける。それは13年も会っていなかったGabrielだったのだ。
Gabrielが村に戻ったことで、地方の狭い人間関係に緊張感が生まれた。離婚して独身に戻ったGabrielはBethを取り戻そうとするが、Bethは忘れきれない初恋の情熱と夫への愛との間で悩む。
GabrielとBethの関係が明るみに出たとき、ある悲劇的な事件が起きる…。
このBroken Countryは2025年刊行の新刊だが、20世紀なかばのイギリスを舞台にしているせいか、20世紀に書かれたモダンクラシックの小説を読んでいるような錯覚に陥る。雰囲気たっぷりで、緻密な文章も、そのノスタルジックな感覚に貢献している。
筋書きだけを読むとただの恋愛小説のように感じるかもしれないが、それ以上の余韻を残してくれる文芸小説である。読んでいて思い出したのは、1994年刊行のDavid Guterson著のベストセラー『Snow Falling on Cedars』だが、読後感はこちらのほうが良い。

