
作者:Taylor Jenkins Reid
Publisher : Ballantine Books
刊行日 : June 3, 2025
Print length : 352 pages
ISBN-10 : 0593158717
ISBN-13 : 978-0593158715
対象年齢:一般(PG15)
読みやすさレベル:7
ジャンル:歴史小説、ラブストーリー
テーマ、キーワード:1980年代のNASA、スペースシャトル計画、女性宇宙飛行士、LGBTQ、アメリカンドリーム
Joanは子どもの時から宇宙に憧れていた。大学で物理と天文学を教える生活に物足りなさを覚えていたが、当時は宇宙飛行士になれるのは男性だけだった。そんな時、NASAがスペースシャトル計画で初めて女性宇宙飛行士を募集し始めたことを知って応募した。
1980年の夏、Joanは何千人もの応募者の中から選ばれ、ヒューストンのジョンソンスペースセンターで同期の女性Lydia, Donna, Vanessaと一緒にトレーニングを始めた。専門領域で卓越した才能を持つ彼女たちは、それぞれ同期の中で最初にミッションに選ばれることを望んでいた。しかし、これまで男性のみだった世界では、女性は才能と努力だけでは評価されないのが現実だった。
Joanの特性は平常心を保つことだった。相手の挑発に乗らず、難しい性格の仲間とも付き合うことができる。自己中心的なシングルマザーの妹に振り回されることや、彼女のわがままの犠牲になりがちな姪を守ることも、Joanは自分に課せられた役割と受け入れていた。
これまで恋愛に縁がないと思いこんできたJoanは、ミステリアスな同期のVanessaとのやり取りで自分が女性に惹かれることにようやく気づく。しかし、当時のNASAでは同性愛であることを知られると職を失う恐れがあった…。
2025年の現在では女性飛行士は珍しい存在ではない。けれども、アポロ計画とそれに続いたスカイラブ計画の時代は宇宙飛行士になれるのは男性のみだった。NASAが初めて女性飛行士を受け入れたのは1978年(1977年に公募)。セレクションで最終的に選ばれた最初の女性飛行士は6人で、アメリカ人女性として初めて宇宙に行ったことで知られるサリー・ライドはその中のひとりだった。
Taylor Jenkins Reidの小説の主人公Joanは、サリー・ライドに似たところもある(ライドはバイセクシャルだった)が、キャラクターとしてはかなり異なる。ライドよりも控えめで、グループを支えるタイプであり、自分の幸福を優先しないところに読者は時折やきもきするかもしれない。
トレーニングの内容やライバル同士のやり取りなどの詳細も興味深く、実話をもとにして作られた映画「アポロ13」のようなスリル感もある。それに加えて涙せずにはいられないラブストーリーがあり、読み始めたら最後まで止めることができない。
これまで何度も「Taylor Jenkins Reidは現代で最高レベルのストーリーテラー」と言ってきたが、本作品は前作よりさらに読み応えがあった。すでに次作が待ち遠しい。

