
作者:Julia London
Publisher : Harper Muse
Publication date : August 12, 2025
Print length : 368 pages
ISBN-10 : 1400245761
ISBN-13 : 978-1400245765
対象年齢:一般(PG12, アルコールと薬物依存を取り扱っているが、性的な場面はない)
読みやすさレベル:6
ジャンル:現代小説
テーマ、キーワード:アルコール・薬物依存症の家族が抱える心理トラウマ、許し、chosen family(血のつながりはないが、支え合う関係のコミュニティ)
ソフトウェア会社で営業チームを率いるLornaは、誰よりも努力家で、誰よりも有能であることを自負している。43歳で独身のLornaは自分だけでなく他人に対しても厳しく、長身であることもあって、チームメンバーから陰で「キングコング」と呼ばれている。
ある時、姉のKristenへのジョークのつもりでチームメンバーについて書いたファイルを間違って会社のメンバーにメールで送ってしまい、尊敬する上司から1ヶ月仕事を休んで心理問題と取り組むプログラムに参加するよう言い渡される。
Lornaのこういった言動の原因は姉のKristenによる子ども時代からのトラウマにあった。姉は10歳の頃からアルコールと薬物依存症になり、家族は彼女の破壊的な行動に振り回されてきた。喧嘩が絶えない両親が離婚した後、姉妹は母親と一緒に母方の祖母の大きな家で暮らすことになり、それはLornaにとって最も幸福な時期だった。けれども祖母が亡くなり、母親はKristenの依存症治療施設の費用を工面するためにその家を売り払ってしまった。
祖母の家はその後改築されて4つの小さなアパートメントになっている。そのひとつを借りて住み始めたLornaは、、いつか祖母の家を買い戻すことを夢見て必死で働いてきた。昇進と昇給を目前にしているいま会社をクビになるわけにはいかない。Lorna はしぶしぶ通い始めたプログラムで自分の内部に巣食っている過去のトラウマとそれに向き合う必要性を理解するようになる。
いっぽう、自宅にいる時間が増えたために隣家の8歳の少年Beanの世話をするようなり、それをきっかけにアパートメントの隣人全員とも触れ合うようになったLornaは、少しずつ過去の出来事と折り合いをつけていく…。
ロマンス作家として有名なJulia Londonの最新作であるEverything is Probably Fineは、これまでの作品とは異なり、ロマンスの要素は少ない。この小説の中心になっているのは、アルコールや薬物依存症の人が家族に与える大きな影響である。何度助けても必ず裏切られ、自分の人間関係や仕事さえ失うことがある。自分を守るために縁を切っても、罪悪感を逃れることができない。この小説はそういった依存症の家族の葛藤をよく描いており、作者自身にそういった体験があるのではないかと思わせる(私が知るかぎりLondonはそれについては語っていない)。
辛い部分では同情して涙ぐんでしまうが、特に少年Beanのキャラクターのおかげで明るい気分で読み続けることができる。血の繋がりがある家族よりも、自分自身で選んだ人々とポジティブな信頼関係を築いていくchosen familyの魅力を感じる心温まる本。
8月12日発売予定。

