
作者:Will Dean
Publisher : Atria/Emily Bestler Books
Publication date : August 6, 2024
Print length : 352 pages
ISBN-10 : 166802117X
ISBN-13 : 978-1668021170
対象年齢:一般(PG15+)
読みやすさレベル:8(場面と時間があちこちに飛ぶので注意が必要)
ジャンル:心理スリラー、ミステリ、ホラー
テーマ、キーワード:Saturation Diving (飽和潜水)、密閉状態での心理状態、殺人
Ellenは数少ない女性飽和潜水士のひとりだが、努力と経験を積むことで男性中心の世界で受け入れられるようになっていた。今回の仕事は北海油田のメンテナンスの作業をするものであり、28日間深海で5人の男性と狭い空間を共有することになる。今回で2回目という若者を除いて全員が多くの体験を積んでおり、中にはかつて有名だった長老的存在もいた。
すべてが通常通りに進むと思っていたときにチームのひとりがバンクベッドで死んでいることがわかった。原因は誰にもわからない。作業を中断しても減圧をするのには4日かかる。それを終えるまでは狭い空間を共有するしかない。待つ間に、また一人が死亡し、残った者は水面にいるサポートメンバーもチームのメンバーも信用できず疑心暗鬼に陥る…。

この心理スリラーの醍醐味はSaturation Diving(飽和潜水)の特殊な世界の描写にある。私はこの小説を読むまでSaturation Divingについて知らなかったのだが、これは深海での作業を安全に行うための潜水方法である。
小説内にあるイラスト(上)にあるように、深海での圧力変化による窒素酔いや減圧症のリスクを軽減するために再圧タンク(Chamber)でヘリウムと酸素の混合ガスを呼吸し、体内の組織にガスを飽和させる。その後Chamberと同じ気圧に保ったDiving Bellを深海におろす。潜水士たちはこの狭いBellの中で何週間も一緒に寝起きして作業するというものだ。
飽和潜水士になることは難しく、世界中でもさほど人数は多くない。報酬は良いが危険であり、しかも精神的に大きなストレスがかかる仕事なので、特殊な人が集まっている。そして平均寿命も短いといったことをこの小説は説明している。
描写があまりにもリアルで、私は読んでいるだけで閉所恐怖症になりそうになってしまった。
ミステリとして読むと疑問や物足りなさを感じるかもしれないが、飽和潜水士の背景や心理は読み応えがある。また、恐怖を感じるサスペンスや心理スリラーとしては夏の読書にぴったりだと思う。
私は早くChamberから出たくて一気読みしてしまった。

