Category: 現代文学
現代版の「ライ麦畑」?-The perks of being a wallflower
著者:Stephen Chbosky出版日:ヤングアダルト/思春期の葛藤/現代小説 現代を生きる普通の男子高校生のリアリスティックな姿 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0671027344 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0671027344&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 友人あての手紙の形を取った小説。主人公のチャーリーは高校一年生の男の子。可も不可もなく、ごく普通の目立たない存在である。パーティで男の子がダンスに誘ってくれない女の子のことを「壁の花」と呼ぶが、チャーリーは男の子版の「壁の花」。内向的で、行動型ではなく分析型なのであまり目立たない。 作者は脚本家で映画監督のStephen Chbosky。 読んだ人はすぐにピンとくると思うが、これはChboskyによる現代版の「The Cather in the Rye(ライ麦畑でつかまえて)」である(内容は異なるので、ご心配なく)。「文学作品として後世に残るか?」とたずねられたら答えは「No」である。けれども、私には「ライ麦畑」よりもずっと面白かった。というのは、主人公のチャーリーが等身大だからである。文芸作品ではないがゆえに、思春期のつらさを正直に描けているような気がする。友人の自殺、家族や友人との人間関係、初恋、性とドラッグの初体験、と多くの葛藤が詰まっているが、あからさまに作り話に感じないのは、実際に思春期とは難しい年代だと知っているからだ。体の成長だけでなく、自分と周囲のティーンのホルモンの変化、それに伴う心身のアンバランスと人間関係のゴチャゴチャ、加えて大学進学とかいろんなことにいっぺんに対応しなければならない。わが娘がいうように「It's tough being a…
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Daemon -今年最大のテクノスリラー
著者:Daniel Suarez 2009年1月発売 テクノスリラー/現代文学 私はローテクでコンピューターゲームにはまったく興味がない人なのですが、IT 技術やコンピューターゲーム、情報セキュリティを満載したテクノスリラーDaemonにはぞっこん惚れ込みました。作者のSuarezに「これは稀にしか生まれないモンスターだ!」というファンレターを出したほどです。ともかくものすごい才能を感じさせる本です。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0525951113&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0525951113 コンピューターゲームの天才クリエーターで「サイバーストーム」というゲーム会社のCEOマシュー・ソボルが脳腫瘍で死去したことがオンラインニュースで伝わる。このニュースが引き金になり、ソボルが生前にプログラムしていたDaemon(注:IT用語辞典によると、UNIX系OSにおいて、バックグラウンドで動作するプログラムのこと)が動き出す。最初は2人の社員の死だったが、担当の刑事は徐々にこれが単純な殺人事件ではないことを悟り、頑固に通常の対応をして状況を悪化させてゆくFBIとは別に個人的に調査を進めてゆく。だが、彼自身も実はソボルが生前にプログラムしていた駒のひとつだったのだ。Daemonは大企業を操り始め、阻止しようとするFBI、CIA、NSA(National Security Agency)などの政府機関すら非力な存在になってくる。 Daemonには、担当刑事のピーター・セベックやフリーランスのコンピューター技術者のジョン・ロスなど重要な登場人物はいるがはっきりした主人公はない。主要人物の感情的な相互作用そのものがあまり重要ではない。この物語では、防衛機関や大企業でフリーランスのシステムコンサルタントをしてきた作者だからこそ描ける、テクノロジーのリアリスティックな破壊力が主人公である。オンラインゲームのファンであればそれに近いビジュアル感覚を得るかもしれない。ともかく、Daemon(と作者Suarez)の非情な攻撃には最初から最後まで休憩する暇がない。 ひとつだけ文句をつけるとしたら、エンディングのあいまいさであろう。 続編が期待される。 読者からは、「マイケル・クライトンの再来!」、「マイケル・クライトンより優れた才能!」という声が聞こえるが、私は少し「リング」を連想した。…
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Tree of Smoke( National Book Award 受賞作)
著者:Denis Johnson 2007年9月初刊 現代文学/純文学/ベトナム戦争 忍耐がある偉大なアメリカ現代小説に挑戦したい方だけにおすすめの本 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0374279128&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 常日頃感じていることだが、偉い文芸評論家やオプラ・ウィンフリーがべた褒めしたからといって良い本とは限らない。有名な賞の受賞作もそうだ。ずっと前は、私の頭が悪いだけかと思っていたが、最近になって私の抱く感想は一般のアメリカ人読書人口とほぼ一致していることがわかってきた。(平均的アメリカ人が馬鹿だといわれたら、それまでだが) このDenis JohnsonのTree of Smokeは、National Book Award受賞作であり、ニューヨークタイムズ紙の文芸評論家Michiko Kakutaniが「bound to…

