Category: 風刺・ユーモア
Wickedの作者による子供向けパロディおとぎ話-Leaping Beauty: And Other Animal Fairy Tales
Gregory Maguire2006年2月224 ページ HarperCollins児童書(9-12歳)/パロディ・ユーモア/短編集 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0060564199&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0060564199&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 人気ミュージカルWicked の原作者として知られるGregory Maguireですが、私の娘の小学校に創作を教えにきてくれていたころは児童書作家でした。そのことについては以前にもお話しました。社会風刺をまじえて大人用に書き直したおとぎ話シリーズで成功したMaguireが、同様の手段で子供用におとぎ話を書き換えたのがこのLeaping Beauty: And Other Animal Fairy Talesです。Maguire本人に会ってすぐに気づくのは彼のwicked(ちょっと邪悪)なユーモアのセンスです。彼が創作クラスを教えていた小学校4年生たちにはそこが魅力で、Maguireが口を開くたびに子供たちが笑い転げていたのが強く印象に残っています。誰もが知っている(聞いたことがある)おとぎ話を彼特有のユーモアで書き直したLeaping…
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ゲイ中年男性のあがきと社会風刺が可笑しい-Alternatives to Sex
muse & marketplace特集第8回でご紹介するのは、ボランティア講師のStephen McCauleyです。 アメリカでは、文芸評論家も重視するのが人物造型(Character development)です。人物描写ではなく、それ以前に登場人物そのものをまるで生きている人のようにちゃんと作り上げることがCharacter developmentで、それを描写するのはまた別のテクということになります。人物造型と人物描写のどちらにも卓越していて、それだけでも本1冊楽しめるのが、Stephen McCauleyの作品です。ジェニファー・アニストン主演の映画The Object of My Affection(邦題「私の愛の対象」)をご存知の方はいらっしゃると思いますが、その原作を書いたのがMcCauleyです。ゲイの男性と同居している妊娠中の女性が、親友だった彼に恋してしまうという切なくて可笑しいこのコメディはアメリカではベストセラーになった作品です。てっきり邦訳されていると思い込んでいたら、「ところが私の作品は日本語には訳されていないのよ。手伝ってくれなくっちゃ!」とチャーミングにせがまれて、びっくり。McCauleyの作品は日本人が楽しめそうなものばかりなので、邦訳されていないのは、本当に不思議です。 Alternatives to Sex…
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オースティンのゾンビ版-Pride and Prejudice and Zombies
Jane Austen と Seth Grahame-Smith 2009年4月4日 パロディ/ゾンビ/クラシック 発売前からAmazon.comで売り切れ状態のゴアで爆笑のパロディ Quirkというインディ出版社からの小品がこれほど売れているのは、まさにインターネットの「クチコミ」パワーです。私が存在を知ったのも、The Name of the Windの作者Patrick Rothfussの2月のブログでした。発売前からAmazon.comでは売切れていて、仕方がないので(Amazon.comの2倍の値段なのだけれど)Barns &…
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ジェーン・オースティンはお好きですか?
私がオースティンに出会ったのは中学生のときで、モンゴメリーと合わせて片っ端から読み漁ったものです。8年ほど前にオースティンを原書で読み返したところ、またもオースティンにはまってしまいました。ハーレクイーン式肉体派ロマンスよりも、オースティンやモンゴメリーのようにプラトニックなほうがうっとりできて素敵だと思うのは私だけではないと思うのですが......。 オースティンは各国に協会があるほど熱烈ファンが多く存在します。関連作品だけでなく、著作権が消滅していますからFanFic(二次創作)も沢山出版されています。ということで、オースティンに関するいろんな本をご紹介しましょう。 1.Jane Austenがテーマの本 これは学者によるJane Austenの伝記です。ちょっとアカデミックすぎる文体とのこと。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1847250467&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 下記は映画化された作品ですが、私の感想は「まあまあ」程度です。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0141020261&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 オースティン中毒のカリフォルニアの女性が、目覚めるとオースティンの時代の女性になっている、というラブコメ。私は読んでいませんが、読者評はまあまあのようです。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0452289726&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 2.Jane Austenの二次創作 オースティンファンの図書館司書が書いたMr. Darcyの視点からの「Pride…
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不謹慎と知りつつ気軽に読んで笑えるThe Darwin Awardsシリーズ
著者:Wendy Northcutt出版日:2000年ジャンル:ノンフィクション/風刺 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0452283442&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0525950850&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 知っている人はもう何年も前からこの存在を知っていると思いますが、そうでない人のために一応ご紹介しておきます。世界的なベストセラーになり、邦訳もされているThe Darwin Awardsは、「われわれ人類という種の長期的存続を確実なものにするために、崇高なまでに愚かな方法で自らを遺伝子プールから抹消させた(つまり死なせた)人」を紹介し賞を与えるというものです。インターネットのサイトwww.DarwinAwards.comで有名になったものが書籍の形になり、それが大ヒットして現在まで何冊もシリーズが発売されています。 ダーウィン賞と呼んでいるのは、登場する人々が愚かな種を次世代に継続する前に自ら馬鹿げた方法で死んでいるからです。たとえば車泥棒がその車を放棄する前に中から火をつけたところドアが開かなくて焼け死んだエピソードとか、ブタを盗んだ3人の男がブタが暴れたために衝突事故を起こし、シートベルトを着用していなかった彼らは死んだけれど逃げないように縛られていたブタは生き残った話とか、実話なので不謹慎だと思うのですが、つい吹き出さずにはいられません。一気に沢山読むよりも、疲れたときに2~3ページ読んで笑うというのに適しています。特に小学校高学年から高校生の男の子に人気がある本です。 ●ここが魅力!まったく頭脳を使わずに読める本なので、ちょっと暇ができたときとか、軽く笑える話を読みたいときに適しています。 ●読みやすさ ★★★★☆とても簡単な英語です。ほとんどのエピソードが半ページから1ページで短く、必ず読みきれるのが良いところ。読みにくいエピソードは飛ばして、読めるものだけを選べます。洋書初心者にはおすすめの本です。 ●アダルト度 ★★☆☆☆車を高速で走らせながらオールヌードでセックスしていて衝突死、というエピソードなんかもありますから、「どういう意味?」と尋ねられて困らないように小学校高学年くらいからをおすすめします。
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Wicked- ミュージカルとは異なる原作
著者: Gregory Maguire初刊:1995年9月ジャンル:純文学/ファンタジー/SF/社会風刺 「考える」ことを強要する読書体験を求める読者におすすめ http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0061350966&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4797342706&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 今は人気ミュージカル「Wicked」の原作者として有名なMaguireですが、それまではさほど有名ではない児童作家で、6年前まで私の娘が通っている小学校に創作を教えに来てくれていました。彼は茶目っ気がある人物で、教え方もちょっとWickedで可笑しいのです。子供たちはMaguireが自分たちと同じ視点で語ることを肌で感じ、すっかり彼に魅了されていました。 そのようなわけで、私がWickedを読んだのはずいぶん昔のことです。一緒にボランティアで企画に関わっていた先生方はニューヨーク市までミュージカルを観に行ったのですが、私は見逃しています。ただ、観た人の話から判断すると、相当トーンが異なるようです。原作は複雑で暗く、私は、「軽い気持ちでは読めない本だけれど、読み応えがある」という感想を抱きました。私がこの本に好感を抱いたのは、それまでにMaguireの社会観に触れていたからかもしれません。この本は、彼のように取り付きやすい外面にもかかわらず、中身が非常に複雑なのです。 まず、これは誰でも知っている「オズの魔法使い」をドロシーではなく、彼女が殺すことになったWickedな西の魔女Elphabaが主人公の物語です。これだけの説明だと「あら、面白そう」と軽く読めそうな気になりますが、そうはいきません。緑の肌と鋭い牙を持つ危険な赤ん坊のElphabaが学問好きでシリアスな少女に育ち、そしてアンダーグラウンドの革命家や動物の人権運動家になり、ついにWickedな統率者として死を迎えるまでの人生を、相当複雑な宗教・社会・政治的観点から描いています。簡単にElphabを善か悪のカテゴリーに入れることはできないので、それも読者にとってはチャレンジです。この物語を嫌う読者の心情も容易に想像できます。主人公のElphabaに同情を覚える読者はいるかもしれませんが、感情移入は困難です。また、読後に暖かい気分になれる「feel good」なストーリーでもありません。けれども、もし私がこれを学生時代に読んでいたら、「これほどすばらしい本を読んだことはない」と言ったと思うのです。 ミュージカルの原作、という先入観で読むとがっかりするかもしれないので、それとは異なる作品として読んでいただきたいと思います。 ●ここが魅力!単純なハッピーエンドや勧善懲悪、倫理観を押し付ける作品、などに辟易している方にとっては非常に面白く感じる娯楽作品でしょう。ゲイで、パートナーとともに多くの子供を外国から養子に迎えているMaguireだからこそ描ける複雑な社会観を感じます。ともかく、いろいろと考えさせられる本です。 ●読みやすさ ★☆☆☆☆ざっと読み飛ばすことはできませんし、読み飛ばすと良いところが失われます。最初の展開がスローなので、入り込みにくく感じるかと思います。また、長編で、しかも登場人物が多く、名前も覚えにくいのが難点です。ネイティブでも最後まで読みきることができずに投げ出す者がけっこういるようです。 ●アダルト度 ★★★☆☆ セックスシーンはありますが、Twilightシリーズと比べるとさほどでもないという感じです。ただし、政治・宗教など複雑なコンセプトは小学生や中学生にはなかなか理解できないし、面白くもないと思います。高校生以上が対象です。
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The Great Derangement
作者:Matt Taibbi 2008年初刊 ジャンル:ノンフィクション/時事問題 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0385520344&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 ローリングストーン誌のコラムニストとして有名なMatt Taibbi(マット・タイビ)が、現在のアメリカのかく乱(derangement)を鮮やかに描いた傑作なノンフィクション。 ブッシュ大統領のもと、過去8年間のアメリカ合衆国は、イラク戦争から捕虜の拷問まで他国から「かく乱している」と思われても仕方のない行動ばかりとってきた。 他国の人々はアメリカ合衆国とその住人をひとまとめに評価するが、実際ここに住んでいる者にとっては、Blue States(民主党が強い州)と Red States(共和党が強い州)では人々の考え方が根本的に異なる。ひとつのアメリカなどは存在しない。 私のようにBlue Stateのインターナショナルな地域に住んでいると、アメリカのどまんなかの村から一歩も外に出たことがない田舎者が何を考えているのか想像もつかない。 けれども、そういう「アメリカのどまんなかの村から一歩も外に出たことのない田舎者」が、過去8年間のアメリカ合衆国の方向性を決めてきたといっても言いすぎではないのである。まったく不条理の世界なのだ。…

