Loving Frank
著者:Nancy Horan 2007年8月初刊 ジャンル:純文学/歴史(フィクション) http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0345495004&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0345495004&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 建築家フランク・ロイド・ライトと彼の女性遍歴について書かれた書物は沢山あるが、彼の最初の結婚を破綻させたといわれるMamahの記録は殆ど残っていない。これは、歴史から無視されたMamahを空想力で蘇えらせた小説である。 Mamahは二児の母でありながら夫が自宅のデザインを依頼した新進の建築家Frankと恋におちる。ドイツに駆け落ちしてからは翻訳の仕事に生きがいを見出すが、恋は残酷な運命を迎える。 私にはこれまでに何度も書かれたテーマの本にしか思えなかったが、アメリカ人の姑(70代後半)やその友人たちはこの本にぞっこん惚れ込んだようである。有名大卒で経済的に成功した夫を持つ姑とその友人たちは、おしなべて伴侶よりもしっかりした頭脳を持っている。時代ゆえに脇役に徹するしかなかった彼女たちは、Mamahの行動力に憧れ、Frankや歴史から忘れ去られた彼女に同情を覚えたにちがいない。 ●読みやすさ ★★☆☆☆ 特に難解ではありませんが、展開が緩慢に感じるかもしれません。 ●ここが魅力! フィクションとはいえ、フランク・ロイド・ライトの人格描写は史実に基づいた正確なものだということです。フランクとママーが互いの間に何を見出したのか、何を得て、何を失ったのか、ロイド・ライトのファンには興味深いところです。 ●アダルト度 ★★★☆☆…
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Atlas Shrugged
著者:Ayn Rand 1957年初刊 ジャンル:フィクション/純文学 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0451191145&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0451191145&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 アメリカ人と関わる機会がある人なら一度は読むべき本 ロシアからの移民のAyn Randがこの小説を使って布教したかったのは、「合理的な利己主義こそが真の道徳の基準であり、利他主義・博愛主義は極めて非道徳的」だという考え方である。ノーム・チョムスキーが「現代の知識人のなかで最も邪悪なひとり」と呼んだのも納得できる。 この本が出版された1950年代は社会主義・共産主義への反感が強い時代だった。ソビエト連邦の脅威にパラノイアを抱くアメリカには利他主義を批判するこの本を受け入れやすい土壌があったのだ。 最近まで共和党は経済的なエリートの党であった。彼らは「貧しい者は、努力をしないからである。努力して裕福になったわれわれが怠け者の面倒を見ることを強要される福祉対策が社会主義だ。それを支持する民主党を勝たせるとアメリカ合衆国は終わりだ」と信じる。裕福な共和党員の子はこれ以外の見解を知らずに育ち、大学では同じような友人を選ぶ。 だが、社会で異なる思想や経済的背景を持つ優れた人物と出会う機会があった者は、自分の体験からRandの倫理観の欠陥を読みとることができるようになる。学生時代に感動したのに20年後に読んで「ひどい」と感じる者がいるのは、体験が思想を変えたからだろう。 チョムスキー的知識人は強い嫌悪感を覚えるであろうし、グリーンスパン的知識人は強い魅力を感じるだろう。 思想の左右は別として、アメリカ人と触れる機会のある人は読む価値があると私は思う。Randの本に対する相手の反応で、どういう人物かを推測できるからである。これは有用なリトマス紙だ。 ●読みやすさ ★☆☆☆☆…
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PWベストセラーリスト(ハードカバー/ ノンフィクション編)
洋書ベストセラー(ハードカバー/ノンフィクション)編-パブリッシャーズウイークリー(1月5日) 1.The Last Lecture 膵臓がんで死が近づいた大学教授の著者はたった46歳の若さで「最後の講義」を行った。これは彼がその後に幼い子供たちに残すために綴った本。長期にわたってベストセラーを続けている。 2.Outliers 才能かそれ以上に環境が成功を決める。成功のハウツー本ではないので要注意。この本がもっとも適しているのは、常に「なぜこんな現象が起きるのだろう?」と好奇心を抱く人。私の周囲の中年以上の男性はみんなこの本を読んでいる。 3.Dewey 犬のノンフィクションが売れるなら、猫のノンフィクションも売れる。 4.American Lion 第7代大統領Andrew Jacksonとその時代を解説するノンフィクション。 アメリカ人は過去の大統領について学ぶのが本当に好きなようだ。 5.The…
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PWベストセラーリスト(ペーパーバック編)
以下はペーパーバック洋書ベストセラーのパブリッシャーズ・ウィークリー版(1月5日)。 1.The Shack by William P. Young 評論家に無視された無名作家のこの作品がなぜ口コミであっという間にベストセラーになったのか?それは、アメリカ版「一杯のかけそば」的なキリスト教徒としての感情に訴えかけるからだという見方がある。日本人にはどうか、と思うが、たやすく感動したい人にはよいかもしれない。 2.The Audacity of Hope by Barack Obama…
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アメリカ出版ビジネスの動向
今週のパブリッシャーズ・ウイークリーに、米国出版ビジネスのコンサルタント会社The Idea Logical Company, Inc.の創始者でCEPのMike Shatzkinが1年前の自分の予言を評点したものが載っている。 そのうち私が興味深く思った米国出版ビジネスの動向をいつくかご紹介しよう。 1.e-bookの普及。ほとんどの大手出版社でe-bookの売り上げが急増しており、ランダムハウス社にいたっては最近400%増加したと報告している。 2.インターネット普及によるビジネスの変化。まだ現実化していないが、将来、有名作家が個人出版するか、通常よりも高い印税でindependentの出版社とのパートナーシップ契約を結ぶようになると筆者は予想する。 (2月末に発売予定の夫の新刊World Wide Rave: Creating Triggers that…
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iPhone やiTouchで読めるe-book-Stanza
私は電子ブックKindleの熱烈ファンだが、iPhoneを持っていることだし、せっかくだからStanzaにも挑戦することにした。 アプリケーションは無料。そしてe-book界の王者を狙うランダムハウス社は、いくつかの小説・エッセーの無料ダウンロードを提供している。また、著者の死後一定の期間が過ぎて著作権が消滅したクラシックの数々も無料でダウンロードできる。アメリカの高校で授業に使われるドラキュラ、フランケンシュタインなども含まれており、いちいち本を持ち歩かなくてもどこでも勉強できるというのは魅力的だ。私も娘の楽器のレッスンや歯科の待合室でKindleや本を持たずに読書ができる。 もちろん画面が小さいので、Kindleに比べて老眼が始まる年齢のわれわれにはちょっとつらいところがある。もちろんフォントを変えることはできるが、しょっちゅうページを変えなくてはならないのは面倒だ。 同じ本をKindleとiPhoneにダウンロードしたので読み比べ、後に使い心地を報告しよう。
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アスペルガー症候群の患者の視点から書いた型破りの回想録- Look Me in the Eye: My Life With Asperger’s
John Elder Robison 2007年 ジャンル:ノンフィクション/医療・健康/回想録 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0307396185 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0307396185&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 アスペルガー症候群は、日本では高機能自閉症として知られている知能障害がない自閉症である。ふつうの人は、他人の表情やしぐさから相手の考えていることを察知し、それに応じた対応をするものだが、アスペルガー症候群の患者は、表情やしぐさの意味を読み取ることができない。会話は、相手に合わせたやり取りができず、自分の関心のあることを長々と話し続ける傾向がある。また、目を合わせることが苦手で、話し相手から目をそらすのも特徴のひとつだ。 アスペルガー症候群を理解しない大人たちは、その態度を見て、うそをついているか、馬鹿にしていると勘違いし、「目を見て答えろ!(Look me in the eye)」と怒る。この本の題名はここから来ているのだ。 アスペルガー症候群の人々はこれらの症状のために他人となかなかコミュニケーションが取れない。誤解されていても、それを察知することも、弁護することもできない。彼らがなぜ奇異に思える行動を取るのか、これまで専門家による説明はあったが、患者本人によるものはまれなかった。 「Look…
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平和になっても自分を罰し続ける哀しい生存者たち Those Who Save Us
ペーパーバック: 496ページ 出版社: Mariner Books ISBN-10: 0156031663 発売日:2004年初刊 適正年齢:PG15+(性的シーン、残虐なシーンあり) 難易度:上級 ジャンル:歴史小説 キーワード:ナチス・ドイツ、悲恋、サバイバーの罪悪感 ニューヨークタイムズ紙ベストセラー作